神経科学の在野研究

理学療法士. 神経科学,医学に関する論文紹介を中心に投稿します. 自分が面白いと思ったことに,共感してくださる人がいると嬉しいです.

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最近の記事

小脳と嚥下の関係について

こんにちは. 神経科学の在野研究です. 前回に引き続き,今回も”脊髄小脳変性症”に関連するお話をします. 本日のテーマは,”小脳疾患と嚥下の関係について”です. 小脳疾患,特に脊髄小脳変性症(SCD)において誤嚥は重篤な問題であり,誤嚥性肺炎や低栄養のリスクにつながってしまいます. ”なぜSCDで誤嚥性肺炎が多いのか?” 私はこの疑問に対して, ”運動失調のため,嚥下に関わる筋群の制御が出来ないのではないか” という仮説を持っていました. もう少し詳しく述べると,

    • 脊髄小脳変性症(SCD)の診断

      こんにちは. 神経科学の在野研究です. 最近,脊髄小脳変性症(SCD)の症例を担当する機会をいただきました. SCDの典型的な症状として運動失調を呈しますが,様々な型があり,型によっては多彩な非運動症状(特に自律神経症状)を呈することがあります. リハビリ職としては,SCDによる運動失調と二次的なDisuseが治療の対象となっていきますが,SCDの型により機能的な予後が異なるため,”型の鑑別”が非常に重要となってきます. 例えば,小脳失調優位の多系統萎縮症(MSA-C)の

      • 集団における脳活動の共鳴・同期に関する研究

        <結論> 「個人間の脳活動は互いに共鳴し,同期して活動しているのではないか」 U. Hassonら(2004) Intersubject Synchronization of Cortical Activity During Natural Vision  この論文では,従来の視覚や脳機能解明に向けた研究における,方法論的な問題点の指摘からスタートします. この方法論的な問題点の克服の仕方も十分革新的なのですが,問題点の克服を試みたことで思いもよらない新しい知見が明らか