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在日日本人
2016年8月12日 07:26
3: 「どしゃぶりの雨の中で」 その日、家に帰った僕は、早速、沢父谷から手渡されたDVDをデッキに入れてみた。 円盤の表面にタイトルの類は一切ない。 プレィが始まる短い空白時間に、嫌な予感がした。 もしかしたらこれから僕の目の前で、沢父谷がくわえ込んだ男どもとのセックスシーンが展開されるのかも知れない。 ・・屈折した意味のない冗談。 何処かで、沢父谷とこのDVDに登場する男が、自分た
2016年8月21日 07:11
11: 「やさしい悪魔」 ジンジャーエールの入ったグラスの底に貯まった氷のブロックが、カタンと音を立てて崩れた時、その男、蛇喰がやって来た。 洒落者なのか、淡いブルーの薄手マフラーをスーツ姿の首にかけている。 蛇喰は、「目印は黒のボルサリーノ」との打ち合わせ通りボルサリーノを斜めに被っていた。 それに全身、ギャングスター・スタイルのスーツ。 そのくせ、顔は町工場の社長です、と言った感じ
2016年8月22日 07:09
12: 「カサブランカ・ダンディ」 手筈は整っていた。 俺が羽織っている皮ジャケットの内ポケットには、神代組の末端からくすねた麻薬が1キロ入っている。 芝居じゃない、実際に俺が売人のヤサからそれをくすねて来たのだ。 勿論、情報は蛇喰が流してくれたのだが、このカラクリは神代組の上層部の数人しか知らない。 神代の組員が、俺の探偵事務所へ押し込んできたのは、俺が盗みを働いたその日の夕刻だった