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【番外編・ギリシャ編】0円ヨーロッパひとり旅
みなさんこんにちは。フランス滞在中のJoです。12月末の2週間の休暇を利用して、ヨーロッパの国を毎日1カ国ずつ旅行をしていました。詳しい背景は準備編をご覧ください。
今回は17カ国目にして、この「0円ヨーロッパひとり旅」の締めくくりとなるギリシャ・アテネです。番外編の前提については、以下の記事を参考にしてください。
実は飛行機の予約の組み方の不備や急な体調不良に襲われて、アテネでは実質20分くらいしか観光することができませんでした。ただ、ギリシャっぽさは感じることができたので、今回はそちらを紹介します。
パリでの悲劇
ITER(国際熱核融合実験炉)
未来の発電方法とも呼ばれ注目されており、日本も国を挙げて多大な貢献をしているITERの研修で前の日までフランス南部のマルセイユにいました。ITERについては以下の記事をご覧ください。
多大な貢献をしているのにも関わらず、国民の認知度が高くないというのが現状のようです。核融合分野で日本がより存在感を示すためにも、税金から支出されているITERの予算がしっかり執行されているのか監視するためにも、とにかく一人ひとりが知ることが重要だと思っています!
CDG空港に向け出発
ITERの研修を終えた私はBlaBlaCarBus(BBCB)に乗ってパリを目指します。フランスでバス会社というと、FlixBusとBBCBの2つが有名です。実はフランスに来たばかりの頃はコスト面で優れているBBCBを利用していたのですが、私が乗ろうとして予定が入って乗れなかったBBCBの路線で大きな事故が起きて私が事前に行なっていた予約が全てキャンセルになってからは、なんとなくBBCBは避けるようになっていました。BBCBの事故については以下を参照してください。
キャンセルのときに大量に発行されたチケットを消費する意味でも今回はBBCBを選択しました。バスはバスなのでFlixBusと大して変わりませんが、21時発の夜行便にしては結構騒がしい気がしました。ただ、BBCBの「BlaBla」はフランス語でしゃべるときの音を意味するフレーズで、もともとは「おしゃべりしながら移動できるカーシェアリングサービス」を標榜したBlaBlaCarのサービスから派生したものになる(日本語であえていうなら「おしゃべりバス」)ので、こういった状況は考え方次第では、よい状況と言えるのかもしれません。ただ、0円ヨーロッパひとり旅中に紛失した影響でネックピローがなかったり、異常に暖房が効きすぎている車内だったり、狭すぎる座席だったりで全然眠ることができませんでした。今まで何十回とバス睡眠を経験してきた私としては衝撃でした。朝6時、バスから降りると明らかに体の調子が悪くなっていました。
暖を求めに
アテネに行く予定で用意した私のコスチュームはパリの朝を過ごすには不十分すぎました。フィンランド編での反省を全く活かすことができていません。
後々になってこの異常なまでの寒さは体調不良も影響しているということがわかったのですが、このときの私はまだこれが体調不良によるものだとは考えていません。バスターミナル(Bercy Seine)から最も近いSNCF駅であるGare de lyonで暖をとろうとしますが、ちっとも暖かくありません。ちょうど寝るのに良さそうなリクライニングチェア(カチカチ)があったので、ここで寝てみようかと試しましたが、寝れないし、こんな寒いところで寝たら死んでしまいそうだと思いました。そのため、作戦を変え、メトロでの無限列車編(同じ区間のメトロに乗り続けること)に突入しますが、停車駅の多い路線を選んでしまい、ここもちっとも暖かくありません。そうこうしているうちに、0円ヨーロッパひとり旅でお世話になってきた図書館が朝9時に開くということで、フランス国立図書館へ移動します。ここについては以前ご紹介していますので、詳しくはフランス編をご覧ください。
とりあえず、ホットチョコレートを購入(1.8€)し、テキトーな作業をこなします。本当は仮眠をとりたい気分でしたが、なぜか疲労感はあるのに眠ることができませんでした。たぶん、疲労感ではなく体調不良からくる倦怠感だったのでしょう。ちなみに、「体調不良のくせに色々な場所に行って、感染を広げているじゃないか!」というご指摘がありそう(だし、私も読者ならそう思います)なので先に言っておくと、次の日にしっかりベッドで睡眠をとったら、何もなかったかのように体調が回復していました。私は人生で一度も徹夜をした経験がなかった(というかできなかった)ので、徹夜をしたときに自分の体に何が起こるのかを把握していませんでしたが、睡眠不足というだけでこんなにもダメージを負うとは思いませんでした。巷ではショートスリーパーが流行っているようですが、彼らがショートスリープで健康体を維持しているのはすごいなと思いました。
CDG空港へ
図書館の後は知人宅でご飯をご馳走してもらって、アテネ行きの飛行機に乗るためにCDG(シャルル・ド・ゴール)空港に行きました。実はこのとき体調不良(というか寝不足)がピークに達していて歩くだけで意識が朦朧としていました。何度か倒れてしまいそうになる場面がありましたが、こんな異国の地で倒れても困るし、正直、フランスの医療サービス(医療に限った話ではないですが)が全く信用できないので、根性で歩き続けました。なぜか航空券のオンラインチェックインができなかったので、現地のスタッフに聞くと、「あなたのチケットはブロックされている」と指摘を受けました。というのも、実は今回のフライトはCDG→アテネではなく、ブレスト(フランス西端の都市)→アテネの予定でしたが、ITERの研修で予定が変更になり、ブレスト→CDG間がノーショウ(キャンセル告知がない状態の無搭乗)をしてしまったからです。どうやら最初のフライトがノーショウだった場合は、そのチケットがブロックされ、チケットを最初から購入しないといけない規定があるらしく、今回のケースでは150€の支払いを求められました。正直、体調は悪いし、アテネでの日程も微妙な感じだったので、復路のアテネ→CDGをキャンセルして、今日はパリに居続けようと考え、アテネ→CDGのキャンセルを申し出ましたが、往路と復路のチケットはリンクされているのと、そもそも予約後のキャンセルや予定変更が適用されないランクのチケットだったということもあり、選択肢が「150€払ってアテネに行く」しかなくなってしまい、渋々150€払いました。
アテネ郊外の宿泊場所へ
寝不足だった私は飛行機の中で爆睡し、あっという間にアテネに到着です。体調はかなり改善していました(やっぱり寝不足でした)。スペイン編の(といっても帰国後のフランスで起きた出来事ですが)1秒に0.1€上がるメーターでタクシーに軽いトラウマがあるので、空港にたくさんいるタクシーではなく、安心安全のUber(早朝やど田舎で料金が跳ね上がること以外は良心的だと思っている)を呼びました。降りる場所の住所を指定してから乗車したはずですが、降りた場所が宿泊場所と全然違う場所で結局15分くらい歩くことになりました。このときすでに深夜3時をまわっていましたが、私が歩いていると全ての家の犬が形相を変えて吠え始めます。フェンスがあったので大丈夫ですが、結構怖い体験でした。到着した宿泊場所は一軒家で1人にはあまりにも広すぎました。
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おはようございます。14時にアテネを去らなければならないのに、すでに11時になっていました。寝不足だったので、起きることがどうしてもできませんでした。「もうこれ観光する時間ないじゃん」と思いながらも、少しでもアテネを感じようとプラカ地区に向かいます。市街地方面のバスが40分に1回しか来ないのに、なぜか1回バス停で待っている状態で目の前を通り過ぎて(到着予定よりも5分早かった)、バス停で追加で40分待つことになりました。ただでさえ時間がないのに(自分のせいですが)、さすがにこれはないだろと思いましたが、私としては成す術がないので、とにかく待ちます。
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次はバスへの必死のアピールが成功し、無事乗ることができました。実はフランスでも同じ目にあったことがあるので、バスが止まらなさそうなバス停では停まるようアピールをすることを忘れないでください。それにしても、馴染みのないギリシャ語は私にとっては難解な数学の問題に見えます。
プラカ地区(Plaka)
パルテノン神殿で有名なアクロポリスの麓に広がる歴史的な街並みが魅力の地区です。ちなみに、今回はプラカ地区だけです。しかも、滞在時間は20分です。もともと早起きして巡る予定のアテネでしたが、予想外の体調不良により時間短縮を余儀なくされてしまいました。
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いかにもギリシャっぽい遺跡を見つけました。これは、古代アゴラといって、古代ギリシャで政治・文化・商業の中心地として栄えていた拠点が遺跡化したものになります。
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アクロポリスが見えますね。めちゃめちゃ登りたい気はあったのですが、タイムリミットは刻々と迫っていました。お腹が空いたので、なにか食べたいですが、選ぶ時間すらもなかったので、
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ジェラートを食べました。全然ギリシャ名物でもなんでもありませんが、おいしいことにはおいしかったです。
帰宅
もうさすがに空港に向かわないと大変なことになる時間になっていました。空港の到着予想時刻は出発時間の30分前でした。本当にギリギリ間に合うかどうかの境目にいました。幸いにも前便の遅れで出発が30分遅れて、ことなきを得ました。
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CDG空港に無事到着し、空港のコンビニでパスタを買いました。全然関係ないのですが、空港の飲み物ってもう少し安くなってもいいと思いませんか。保安検査でたいていの飲み物は引っかかってしまうので、飲み物を飲む場合には保安検査後に空港内で購入する必要がありますが、水でも2.5€(410円)します。お客的にはそこ以外で買うことのできない事実上の独占状態なので、あんまりフェアじゃないなと感じます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。少し味気ない気がするのですが、0円ヨーロッパひとり旅は番外編も含めて、今回で最後になります。旅のまとめ的なことは完結編に書きましたのでそちらをご覧ください。
どこの国が一番良かったかという質問をよくされるようになりました。「どこの国もそれぞれにいいところがあって素晴らしかった」というのがこの手の質問への理想的な回答だと思いますが、正直、イタリア・ヴェネツィア、チェコ・プラハ、ハンガリー・ブダペストは群を抜いて衝撃的な光景が多かった記憶があります。0円ヨーロッパひとり旅はある意味、ルールが固定されていて国だけが変化する対照実験的な側面を持っているので、割と当たっているのではないかと勝手に考えています。以上の3つの都市はとても有名ですが、有名なだけの理由があるのだなと実際に訪問すると痛感させられます。一方で、冷戦時代の政治体制に興味のある方はバルト三国(ラトビア、リトアニア、エストニア)はとても勉強になる施設が多いので、楽しめると思います。図書館めぐりをされたい方にはクロアチア国立大学図書館とラトビア国立図書館がおすすめです。最後に私がこの旅を通してみなさんに伝えたいことを述べて、記事を終わりにしたいと思います。
「お金はあったほうがいい」