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150【これだけ!経営者が必要な財務分析能力。】元銀行員・地方在住・財務コンサルタントの思索
皆さんこんにちは。元銀行員で融資・財務コンサルタントの中村と申します。岡山県倉敷市にて独立系融資・財務コンサルタントとして活動しています。都市銀行に中小企業向け融資の担当者として5年半勤務したのち、外資系生命保険会社の営業マンを経て保険代理店として独立し、2022年まで経営していました。そして、約5年間(2015年~2020年迄)で廃業しましたが、焼肉のエリアチェーン店を作り、5店舗経営していました。経営者としてトータル約7億円借入した経験があります。
コンサルテーションの主な対象は年商10億円規模までの中小零細企業のオーナー経営者と後継者様です。顧問先の経営者の年齢は30歳~50歳くらいと割と若いです。
主な仕事内容は、
①インタビュー・対話形式での銀行からの評価が高まる経営計画策定支援
②銀行借入の再編による資金繰りの改善
となっています。
お問い合わせはメールもしくはfacebookへのDMでお気軽に。
直近3期分のご決算書類と借入返済予定表を無料で分析後、
45分無料経営相談承ります。
https://www.facebook.com/norihide.nakamura.18
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【本編】
はじめに
「財務分析は税理士さんがしてくれる。」
「財務分析結果は経理の担当が教えてくれる。」
「懇意の銀行員が決算ごとにざっくり財務分析してくれるからいいや。」
なんて思っておられると経営に黄色信号が点灯したと言えるかも知れません。
年商10億円規模までの中小零細企業の経営に役立つ財務分析能力をテーマに今回は書きます。最初に範囲や前提を定義しておかねば非常に広いテーマになってしまうので、”財務分析”という出口の無い迷宮に入りこんでしまいます。私が今まで培ってきた財務分析について今まで何度かブログにもしたためてきましたが、年商10億円規模までの中小零細企業の経営者目線で役に立つ!という点に特化して今回は執筆します。もしよろしければ最後までお読みください。
最初は損益計算書から
「みんな大好き、経常利益!」
そんな格言は聞いたことありませんが、笑
「とりあえず経常利益がちょっとプラスだったらいいじゃない?」みたいなばくっとした考えをお持ちの経営者は多いかも知れません。実はこの考え方はあながち外れていません。というのも、期間1年以上の長期で銀行から借り入れを起こしている場合、その返済原資(返済の元となるお金)の判断基準に経常利益は大きくかかわってくるからです。
ちょっとおさらいにはなりますが、フリーキャッシュフローという考え方は身に付けていただきたいところです。
計算式は
フリーキャッシュフロー=経常利益+減価償却費ー法人税等
都市銀行やいわゆる上位の都市銀行では、”調整後キャッシュフロー”・”期間損益”といって3期分の平均や、独自のバイアスをかけて正味の返済力を評価したりもします。しかし、たいていの金融機関に対して、このフリーキャッシュフローという考え方を身に付けておけば銀行員さんとの交渉でも充分渡り合えるでしょう。
また、損益計算書で押さえるべきポイントの勘定科目は極論言えば、あと3つしかありません。それは、
①売上総利益
②営業利益
➂役員報酬
です。
これを簡単に説明していきます。
①売上総利益について
➡いわゆる粗利と呼ばれるものです。売上から原価を差し引いた利益の大元と言えます。大事なのは業種の全国平均値と比べて自社の粗利率がどうなのな?という尺度を持つことです。全国平均値より良ければそれだけ差別化できているということであり、全国平均に満たないのであれば、その原因を突き止めなければなりません。
②営業利益について
➡粗利から販売管理費を差し引いた利益です。いわゆる本業の利益です。最低でも売上高営業利益は適切な額の役員報酬額と減価償却費を引いた上で、3%以上は欲しいところです。
➂役員報酬
➡意外と金融機関がウォッチしている項目です。できる銀行担当者ならば自然な流れで会話の中で、代表者の生活実態を聞きます。もし、慎ましい生活をされていた場合、残りの役員報酬額を営業利益に加算して、融資審査を銀行は行います。法人と個人の境があいまいな年商10億円規模までの中小零細企業のにおいてはそのプロセスは色濃く反映されます。
次に貸借対照表
極論を言えばこの3点しかまずは見ません。それは、
①純資産額
②現預金量
➂借入残高
この3点をイメージして自社を分析すればよいと考えます。
①純資産額
➡自己資本比率が40%を超えると優良先とみなされます。最低でも15%以上は必要です。もし債務超過の場合でも、役員からの借り入れ金、資本性劣後ローンの残高などは疑似資本金とみなされます。簿外に個人資産がある場合は一覧にして提出すれば、債務超過の場合でも実態的に資産超過とみなしてくれる可能性が高まります。
②現預金量
➡平均月商額の2か月分以上は維持しましょう。3か月以上あり続ければ一つの安定水準と判断されます。
➂借入残高
➡運転資金の借入額は平均月商の3か月以内(最大でも限界は6か月)におさめていたいところです。しかし、入金サイトが長い業種はある程度多くも仕方がないケースもあります。借入額も大事なのですが、実はそれよりも元金返済額がフリーキャッシュフロー内にあるかどうかが重要です。元金返済額に満たない場合は、現預金を取り崩したり、他から借りてこなければならない状況なので、いわゆる資金繰りが重たい状況と言え危険信号が点灯していると言えます。
運転資金借入は月商の3か月以内且つ、年間の元金返済額はフリーキャッシュフローの範囲内を目指しましょう。
キーワードは直近”3期並べて”
粉飾は程度の差こそあれ、約35%もの企業がしている懸念があるという説を聞いたことがあります。しかし、本当のところはなかなか実態はつかめません。ただ、会計の原理原則から言えば、真実性の原則は大前提ですので、決算書類は正しい数字でなくてはならないのは言うまでもありません。
年商10億円規模までの中小零細企業のは昭和、平成という時代はあいまいでグレーなラインも一部認められていたかも知れません。しかし、今後「事業成長担保権」「事業性評価融資」という担保・保証人に依存しない、事業そのものの稼ぐ力を見て、未来に向かって融資していくという潮流が確実にあります。令和5年12月の閣議決定でも示されたとおり、この融資の潮流は「決算数字が正しい」という大前提で審査が進みます。よって粉飾の疑義があれば、依然として担保・保証人に頼った昔ながらの融資審査体系に依存することになります。せっかく、中小企業でも法人個人分離の流れにあるのにもったいないですよね。
結局、国と金融機関が中小零細企業を助けようとして新たな制度を構築していても粉飾決算をしたり、正しい数字を迅速に計算する経理体制の構築ができていなければ時代の変化は何の意味もなさなくなってしまうのです。
過去3期分の決算書を並べて過去のトレンドを見れば、未来への有効な打ち手も判断しやすくなります。つまり、未来への仮設構築力を養うことができるのです。だからこそ、過去3期分の自社の決算書類を正しく理解できる財務分析力が経営者の必須の能力と言えます。なんとなく営業を積み上げて作った商流を微修正していきさえすれば自らの家族と社員スタッフ・取引先の人々が豊かな生活ができた時代はとっくに終わりを告げています。この現実を正面からとらえる1歩目は”財務分析”にあると私は信じています。
まとめ
・財務分析は経営者自らが実施する。
・損益計算書からまずは分析する。重要ポイントは売上、営業利益、役員報酬。
・貸借対照表の見るべきポイントは、純資産額、預金量、借入額。
・数値から自社の儲けるチカラを見極めよう。トレンドは過去の資産背景だけでなく、儲け方を見て将来に向かっての方向にある。
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【融資・財務コンサルタントの仕事をかみ砕いて言うと…】
岡山倉敷市という地方都市で、独立系の融資・財務コンサルタントというニッチな業態を生業としています。
得意な分野はやはり「融資」です。貸すと借りるの両方を経験し、その道のコンサルタントとして活動している人はまだまだ少ないと思います。
実務としては、インタビュー・対話形式をメインで、銀行などの金融機関の評価が高まる、改善施策を行動計画にまで落とし込んだ「経営計画」を作るお手伝いとなります。実はこの「経営計画」を作っていく中で、自社の情報を体系的に整理するというメリットを得られます。そして、銀行から自社の財務状況がどう評価されているのか?(財務格付と言います)を算定するノウハウが弊社にはあります。この財務状況がどういう状態なのかをコンサルテーションの中で、分かり易く説明させていただきます。少しだけ踏み込んで言えば、この財務格付の算定プロセスの中に、自社の改善ポイントを見つけることができます。
「経営計画」以外には、銀行借入の再編プランを作り、金融機関への説明資料を経営者と一緒に作成し、場合によっては銀行の許可を得た上で、交渉の場に立ち会わせていただくことも頻繁にあります。銀行融資の再編だけでびっくりするくらいの資金繰り改善に繋がることが多くあります。
色々と書きましたが、年商10億円規模までの中小零細企業の経営者には、頼りになる右腕的幹部社員もいなかったりするケースが一般的です。つまり、私(弊社)は外注幹部社員としての役割を担うことになります。
融資・財務改善を軸としたコンサルタントは多いようで実は少ないと考えられます。このnoteを読まれたことも何かの縁ですので、自社の財務面や戦略面でモヤッとしていることがあればお気兼ねなく、質問などお問い合わせください。メールとfacebookへのDMでどうぞお気軽に。
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