FXトレーダーが陥りやすい健康被害とその対策
「あと3pips動いたら、、、」FXを始めて間もない頃、私はそんな考えに囚われ、チャートを凝視する毎日を送っていました。
気づけば午前4時。含み損を抱えたポジションが気になって、モニターから目が離せない。この生活が続いたある日、右目に違和感を覚えました。
今回は、FXに熱中するあまり、見失いがちな「健康被害」について、私の経験を踏まえてお伝えしたいと思います。
目先の利益にとらわれる危険性
トレードを始めたばかりのころは、誰もが利益を追い求めます。それ自体は自然なことですが、実はこの「利益への執着」が思わぬ落とし穴になることがあります。
FXは短距離走ではなく、長距離走。いわばフルマラソンのようなものです。もし100メートル走のペースで挑んでしまえば、途中で息切れしてしまうのは目に見えています。
「体が資本」という言葉をよく耳にしますが、トレードも例外ではありません。心身ともに大きな負担をかける作業です。自分では気づきにくいのですが、ストレスや疲労は少しずつ蓄積され、知らないうちに健康に影響を及ぼすことがあります。
特に注意したいのは、体はすぐに悲鳴を上げないという点です。そのため、健康面でのリスクを正しく理解し、事前に適切な対策を取ることが重要です。私自身も、トレードに熱中するあまり、健康被害を経験しました。
私が経験した健康被害
1. VDT症候群
VDT(Visual Display Terminals)症候群とは、パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続けることで生じる健康障害の総称です。
FXを始めてからの数か月間、私は青白い光を放つモニターを何時間も凝視し、1分足のチャートを直感に頼ってトレードしていました。交感神経が活発になり、目はギラギラして眠気を感じることもなく、気づけば深夜までチャートに釘付けの日々が続いていました。
深夜1時:「次で最後」
深夜2時:「あと少しだけ」
午前3時:「もうちょっと」
午前4時:「もう寝る時間がない」
午前5時:「このまま出社するしかない」
こんな調子で、明け方までチャートを見続けたことも珍しくありませんでした。そんな生活が続いたある日、右目に圧力がかかったような違和感を覚え、視界がぼやけるように。目薬を差しながら無理を続けたものの、改善せず、眼科を受診しました。
医師から「VDT症候群です。このまま続けると網膜疾患のリスクもあります」と警告され、最悪の場合、失明の可能性もあると告げられました。
本業でもパソコンを多用していましたので、それを機にブルーライトカット眼鏡を購入し、トレードを一時的に控えました。
2. 肩こり・首・腰の痛み、頭痛
VDT症候群に加え、肩こりや首痛、腰痛、さらには頭痛まで併発しました。長時間モニターを見続ける際の不良姿勢が影響していたと思います。特に腰の左側に痛みがあり、頭痛もロキソニンでしか収まらないほどひどいものでした。
頭痛は「緊張型頭痛」と呼ばれるもので、頭全体が締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。肩や首の筋肉がこわばり、血行不良を引き起こすことが原因と言われています。
長時間のモニター作業やストレスが引き金になったと考えられます。
これらの症状を改善するため、整骨院に約1ヶ月通いました。初診時に施術師から言われた「この筋肉の硬さは異常です」と言われた言葉が今でも印象に残っています。治療によって痛みは改善しましたが、トレードの負担の大きさを痛感しました。
3. 睡眠不足による認知機能の低下
「あと少し」「もうちょっと」とトレードを続けた結果、睡眠不足の日々が続きました。特に含み損を抱えたポジションを保有しているときは、布団に入っても気になって眠れません。朝になって確認しても損失が減っていなければ、そのままポジションを保有していたため、本業中も気が散ってしまいます。
その結果、集中力や意思決定能力が低下し、普段なら簡単にこなせる業務に時間がかかるようになりました。当然、トレードパフォーマンスにも悪影響を及ぼしました。
4. 精神的ストレス
トレードで失った金額は小さなものではなかったため、毎日その後悔が頭を離れず、強いストレスを感じていました。「どうしてあの時損切りできなかったのか」「次はどうリカバリーすればいいのか」といった考えが頭を巡り、心が休まる暇がありません。幸い、うつ症状には進行しませんでしたが、このストレスが継続していれば、精神疾患を患っていたかもしれません。
これらの健康被害は私の経験ですが、同じような症状に悩むトレーダーも多いのではないでしょうか。特に、精神的ストレスが過度に蓄積すると、自律神経失調症を発症するケースもあると聞きます。
健康を害してしまっては元も子もありません。健康管理の重要性を改めて感じるとともに、適切な対策を講じることが必要だと痛感しました。
私の健康管理
健康を維持するための対策は、腰を据えて取り組むような大掛かりなものではなく、日常生活に無理なく取り入れられる程度で十分だと思います。
継続的に行えること、そして習慣化できることがポイントです。
以下は、私が取り組んでいる健康管理です。
1. 目のケア(眼精疲労対策)
✅意識的にモニターから離れ、遠くを見ることで、目のピント調整の筋肉や、眼球を動かす筋肉をリラックスさせる。
✅ブルーライトカット眼鏡を着用。
✅モニターを目線より少し下に配置。
✅ドライアイ用点眼薬やホットタオルでケア(私が愛用している目薬は参天製薬のソフトサンティア)。
2. 首・肩こり、腰痛、頭痛ケア
※長くPCモニターを見続けた時に、意識的に行うストレッチ。
✅首回し:ゆっくり首を左右に回す(各5回)。
✅肩甲骨寄せ:両肩を後ろに引き寄せるようにして5秒間キープ(3回)。
✅腰のひねり体操:椅子に浅く腰掛けた状態で腰を左右にひねり(それぞれ10~20秒キープ)。
✅つま先ストレッチ:片足ずつ前方に伸ばし、つま先を天井方向へ動かして5回繰り返す。
✅正しい姿勢を意識する(背筋を伸ばし、肘が90度になるよう調整)。
✅チャンス相場でない時は、椅子から立ち上がりモニターから離れる。
3. 睡眠対策
✅就寝前は1時間程前からPCを閉じる(チャンス相場の場合はこの限りではなく、無理のない範囲で対応)。
✅寝室をリラックスできる静かな環境にする。
なお、ストレス対策についてはありません。これは、正しいトレードスキルを習得し、トレードルールを順守すれば、過度なストレスを受けることがなくなるからです。
相場の不可解な動きによる損失は避けられませんが、大半のストレスは、ルールから逸脱したトレードによって生じています。
ストレス対策は、その改善が最優先です。
まとめ
相場との付き合いは長期戦です。短期的な利益に目を奪われるあまり、かけがえのない健康を損なうことは、本末転倒です。また、健康を損なってからの回復には予想以上の時間とコストが必要になるかもしれません。
利益を生むチャンスは、今日で終わるわけではありません。
今日のチャンスを逃しても、その先に新しいチャンスはいくらでもあります。
そして、そのチャンスを掴み、トレードで成功を収めるためには、健康な体と冷静で冴えた頭脳が不可欠です。どれほど優れたトレードスキルを持っていても、それを活かせるコンディションでなければ本来の力は発揮できません。
健康な心身こそが最大の資産です。一時的な利益よりも長期的な持続可能性を重視しましょう。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
⚠️本記事は、筆者自身の実体験をもとに執筆しています。ただし、症状が似ている場合でも、状況や内容が異なる可能性があります。体調に異変を感じた際は、無理をせず、速やかに医療機関を受診してください。