『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』第8話小考
『ぶいでん』、トランジッション、というか、カットとカットの繋ぎが巧みすぎることがそれなりの頻度であり、けっこうびっくりする。
今回は「淡雪ちゃん」が好きだったと嘆く視聴者povに “見せかけて” カメラが回転し、視聴者をわざわざ映した後で、カメラがさらに回って淡雪にカメラを合わせると衣装が(「シュワちゃん」ではなく)「淡雪ちゃん」になっていて、本当に視聴者povに “成って” しまうところがかなり peak だった。
しかもそのあと俯瞰ショットで一瞬で戻る。前半はあと、スマホカメラでいい感じに省略を挟みつつ配信画面に繋げるところとか。
そういうのはこのアニメがずっとやっていることなのでもう驚かないけれど、でも、配信用スマホに映ったlive2Dに芝居させるとか、そういうのはやっぱ凄い。リアルの演者でもなく、配信に映ったlive2Dの身体でもなく、言ってみれば “素体” に芝居(その実 “芝居” というほど動きもしない)させるとか。
この世界へのまなざしにおいて、観賞者がけっして「中の人」(の「キャラクター」)をまなざすことはできず、つねにライバーの在りようと、当のライバーのまなざししか借りられない設定も本当に効いていて、感服する。
念のため補足すれば、「中の人」をまなざすことができない、というのは、配信外の姿を目の当たりにできないというのではなくて、配信外においてもライバーの生を生きてしまっているということを描き、それを観賞者がまなざす、という仕組みになっているという比喩的な意味。
ここにスキャンダルとスリリングがあって、このライバーの生を生きてしまう緊張を『ぶいでん』はずっっっとうまく描いている。凄い。
めちゃくちゃ強いて言えば、話数によってはあまりVtuberの配信っぽくないコメントが流れたり、赤スパでそれは言わんだろ、みたいなコメント付けていることだけが視聴を阻害してくるのだけれど(これは私の問題なのであしからず)、今回は「多様性の時代!!」というコメントがグロすぎてむしろリアルだった。
さておき、今話はとりわけ良かった。
※引用した画像はすべて『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』第8話に拠り、すべての権利は「© 七斗七・塩かずのこ/KADOKAWA/「ぶいでん」製作委員会」に帰する。
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