母を迎えに東京駅へ
一時帰国中に母がいつも言うのが「普段はこんなにあちこち行かへんからなぁ」というセリフ。それなら、と大阪では気になるシアターに母と足を運んだり、親戚の叔父や叔母とランチをしたりして何かと母を外に連れ出した。とはいえ、76歳の母親は週に3回バイトをしているし、週1で墨絵教室にも行っているので全く外に出ていないわけではない。足腰がおそらく年齢の割には丈夫な方なのだろう。
そんな母が「せっかくやから東京に遊びに行こうかな」というので、3つ目の宿は私と娘、そして母の3人で泊まれるアパートを予約しておいた。何日来るのか、いつ来るのかもわからなかったがその辺はフレキシブルに組んでおいたのでなんら問題はない。結局、1週間東京に滞在することになったので東京行きの新幹線のチケットを大阪滞在中に手配しておいた。
母にとっては久しぶりの新幹線、久しぶりの東京である。当日は落ち合う場所をあらかじめ決めておいたのだが時間になってもなかなか姿を見せない。LINE通話で場所を聞いてみると丸の内側ではなく八重洲口側にいることがわかった。改札口の写真を送ったり電話で説明したりして母が改札前に現れたのは新幹線の到着時間から20分くらいが経っていた。でもまぁ、最終的に会えたのでほっとした。
改札を出る際に切符も出てこなかったのでチケット購入のレシートを見せて何とか改札を通してもらった。かなり焦って気が動転していたのだろう。まずは休憩してから家に向かおう、と東京駅から徒歩ですぐのKITTEでお茶をすることに。東京駅を正面から見て「なんかやっぱり東京は違うなぁ。大阪駅はどこが正面なんかよくわからんし」ともっともなことを言っていた。
駅の向かいに皇居があるというのも東京らしい。とにかく街の中心がやたら広々としている印象を受ける。「明日、雨が降らなければ皇居付近をちょっと散歩できるかもね」東京駅を正面から眺めながら、そういえばここに立ってこのアングルで東京駅を見るのは自分も初めてだということに気がついた。東京には何度か来ているが観光らしい観光はしていなかったからだ。面白いものである。パリに行ってもエッフェル塔は遠くから眺めるだけだし、シャンゼリゼを歩いたこともない。ベルリンも街中をウロウロと歩くのは好きだが観光らしい観光は長い間していなかった。
KITTEといえば、大阪駅前に元郵便局だった建物がKITTEとしてオープンしたのが今年7月。「東京にもKITTEがあるんやなぁ」と母。東京の方は2013年の3月にオープンしている。
このあと、列車に揺られて京成立石へ。「この辺は下町やねんなぁ」とどこか大阪の町にも似た風情のある立石を気に入っていた様子だった。
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