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ベルリン映画祭〜「偶然と想像」
小説のようなタイトルの映画だな、と思った濱口竜介監督の「偶然と想像」。
短い3本のストーリーがオムニバス形式になっている映画だ。
観ていてセリフをじっくりと聴きたくなる、そんな風に思った。心なしか登場人物もそれぞれ、一言一言をとてもはっきりと明瞭に話す。
ある小説の音読が入るシーンがあるのだけれど、この映画そのものが言葉で溢れているように思えたのだ。
映画の登場人物たちに恋をしてしまいそうな、そんな映画だった。
日本語ってやはりとても美しくなり得る言語なんだよなぁ。
言葉の持つ力、というものを濱口竜介監督は熟知しているのかもしれない。
時間がゆっくりと私を殺していくような気がして…
もう一度ゆっくり観たい。セリフを空で言えるようになりたい。そんな映画だった。
1話目のめいこさん、2話目のせがわさんとなおさん、3話目のあやさんが特に好きだったかな。
濱口監督、毎回ステージ上で、通訳の方にいいタイミングでキューを出されるところがとても親しみを持てた。現場でも役者やスタッフ全員に人一倍気を使っているのではないかと心配になってくるほどだ。だからこそ、こういった親密で繊細な作品が生まれるのだろう。
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