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人生をやり直すカンポケ社

たぬき、あるいは不調のネコのせいでnoteの更新が滞ってしまったが何事も自分に非があるのであって、たぬきはただ単に大阪の夜の街を徘徊していただけであり、ネコだって別に不調になりたくてなったわけではない。

全ては自分の落ち着きのなさに由来しているに過ぎないのである。だが今回は特に反省はしていない。

さて、関西滞在中に人に会い過ぎて、もはやどこから手をつけていいのかわからないがそれなら時系列に追っていけばいいのでは、と忘れないうちに自分のための健忘録としていくつか振り返っておこうと思う。

物事のディテールをきちんと覚えている人もいるが私の場合はどうやら暗に必要だと思われる物事以外はごっそりと記憶から抜け落ちるタイプの人間らしい。今回の滞在でも同級生や家族と話しているとそれをよく感じる。「え、そんなことあったっけ?」と話を聞いてもよく覚えていない場合が多いからだ。

それはともかくとして、どこまで遡ればいいんだ。えーっと、大学訪問の次だからカンポケ社である。そう、カンガルーのポケット。

超人予備校さんの(人生をやり直す)カンポケ社、という非常に興味深いタイトルの舞台をひょんなことで(「ひょん」については町田康さんが『テイスト・オブ・苦虫3』で詳しく書かれている)観に行くことになり人生をやり直すどころか、異次元に放り込まれるような経験をすることになった。人生もいろいろと大変である。できることなら大学時代くらいからやり直したい、ほんとに本気で。

日頃、バイトと墨絵教室の往復くらいしか外出していない、と母が言うのでじゃあ一緒に舞台を観に行こう、と唯一空いていた土曜日のお昼前に出かけた。よく考えてみたら公演のことを知り、しかも大阪滞在中、予定がたまたま入っていなかった、という条件が揃うことなどあまりないような気がする。「運命は偶然よりも必然である」と芥川龍之介だって言ってたじゃないか。

東京から大阪に来たら、大阪はまだまだ夏日で日本橋あたりを歩きながら、あっつ!なんて言いつつ、途中で王将でラーメンを食べたりして、ワクワクしながら劇場に向かったのである。

アホみたいにワクワクしすぎだよな、と自分でも思うが今回の帰国はひとりの時間が山ほどあるので放っておいても勝手に盛り上がる傾向にあるのだ。わーい。

こじんまりとしたin→ dependent theatre 1st。ステージと観客の距離がほとんどない。逆にこちらが緊張してしまうんですが、という心境になる。実際、なぜかちょっと胃がキリキリした。のっけから引き込まれるカンポケ社の案内役の女性と人生をやり直したい数人の人々。みんな生きていれば何かしら悩みを抱えるものだ。オーストラリアの動物がいろいろと出てくるのだがとにかく台本が素晴らしい。

日本滞在も3週間目となると、日本語で舞台を観るというのにもそれほど新鮮さは感じなくなる。東京で2本観たが関西のカンポケ社が一番よかった。親しみやすさもあるとは思うが舞台で演じている人たちが楽しんでやっているのが伝わってきたからかもしれない。とにかく変に拗らせた演出もなく、カッコつけてないというかストレートに面白かったのである。オーストラリアには行ったことがないがあんなオーストラリアであれば行ってみたいかもしれない。

自分らしく生きていける場所って一体どこなんだろうね。

そんなことを考えつつ、母親と舞台についてあれこれ話しながら歩いていたら難波パークス付近でちょっと迷った。そして私もコアラになってみたいなぁ、なんてしみじみと思ったわけである。









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