ヴォルフスブルクでサッカー観戦
先週末も夏日が戻り、日中は30度という暑さだった。友人に誘われていなかったら、間違いなくベルリンの自宅でテレビ観戦したであろう日本代表のサッカー親善試合。せっかく誘われたのだし、息子を連れて観戦しようか、ということに。チケット発売日は大阪にいたのと、天神祭に出かける予定になったいたので、購入は友人に任せた。ヴォルフスブルクでの滞在ホテルやベルリン・ヴォルフスブルク間の列車はこちらで手配することになった。
ホテルはヴォルフスブルクの郊外にまだ空きを見つけたので、迷わず予約を入れる。列車の方は日本でバタバタしていたので、結局8月末にベルリンへ戻ってから座席指定も含め何とか購入することができた。試合は9月9日だったが、1週間前にドイツサッカー連盟(DFB)のサイトでチケットの売れ具合を見たときには残席がまだたくさんあったというのに、前日までにはほぼ完売していた。ドイツ代表戦とはこれほど人気があるものなんだな、と感心するほど。娘のために追加で購入したものの、手元にまだ残っていたチケットもSNSを介して購入してくれる方を見つけた。チケットが無駄にならなくて何よりである。
「つまらん試合やったらいややなぁ、ママ」とはサッカー部の息子。実はベルリンのオリンピックスタジアムで観た試合がつまらなさすぎて印象がそれほどよくないのである。サッカー観戦は面白くない、という彼のイメージが払拭できるような試合展開になるといいなぁ、と期待を抱きつつヴォルフスブルクへ向かう。幸いにもドイツ鉄道は1分遅れただけで、ほぼ予定通りにヴォルフスブルク中央駅に到着した。最近は遅れるのが当たり前だというのに、幸先がいいではないか。
そのまますぐにホテルへタクシーで向かいチェックイン。これがまた厩舎を一部改装したという素敵なホテルで気分を盛り上げてくれた。同じ敷地内に厩舎もあり、馬の姿もあった。日本から戻ったばかりなのに、またこんなご褒美めいた週末でいいのだろうか、とも思ったが何事も経験。自分の楽しみのためでもあるが、サッカー部の息子のモチベーションを上げるためでもあるのだ。
早めに市内に移動し、腹ごしらえをする。友人の息子の同級生とその母親も同席しての夕飯だったが、息子が早くスタジアムに行きたい、というので1時間ほどでレストランを後にしてふたりで先にスタジアムに向かうことにした。
ヴォルフスブルクといえば、ずいぶん前にクライアントさんと一緒にアウトシュタット(Autostadt)を訪問したことがあるくらい。ここはフォルクスワーゲン(VW)の街として有名なのだ。本社の地内には自動車博物館があり賑わっている。
しかし、今回のメインは日本代表の親善試合。アウトシュタットは外から工場を眺めたり、エントランス付近をのぞいたりするだけに終わった。車好きにはオススメの施設なので機会があれば是非。
お目当てのフォルクスワーゲン・アリーナはこのアウトシュタットとほぼ隣接した場所にある。中央駅から徒歩でアクセスできる便利なスタジアムだ。ドイツ国内のサッカーの試合の撮影にも何度も行ったことがあるが、実はこのスタジアムに足を運ぶのはこれが初めてだった。ベルリンのオリンピックスタジアムやミュンヘンのアリアンツ・アレーナ、ドルトムントのジグナル・イドゥナ・パルクなどに比べると非常に観客席とフィールドが近くて見やすいと感じる。「これは近いっ!」と思わず叫んでしまうほど。
1時間半ほど前にスタジアム内に入ることになったが、途中でドイツ代表を乗せたバスを見かけたり、日本代表選手のウォーミングアップを見たりしているとあっという間に試合開始の時間になった。自分たちの周りはほぼドイツ人のサポーターだったが、まぁそんなことは試合が始まれば関係ない。
と、思いきや息子の前には興奮気味の巨大なドイツ人サポーターが大声でドイチュラント(ドイツ)!と叫ぶは席を立つわ、ドイツ国旗をゴール前で振り回す子どもはいるわ、となかなかのカオスっぷりだった。それでも、バイエルンファンの応援席を撮影したときの比ではなかったんだけれど…
息子が「また立つ、この人大きいから見えへんで!」と怒り心頭だったのだが、そのうち痺れを切らした年配の男性が大声でそのサポーターに向かってこう言い放った。「小さな子が後ろに座ってるんだから、ちょっとはわきまえろ!そもそもうるさすぎるしな!」「そうだそうだ!」驚いたことに割とあちこちからそのやかましいサポーターに非難が飛んだのである。ドイツ人サポーターに対するイメージが少しばかりよくなった瞬間である。
それも日本が2点目を入れた辺りから様子が変わってきた。静まり返るサポーターたち。ブーイングを飛ばすサポーター。気付けば辺りからNIPPON!の応援まで聞こえてくる始末。あの日のドイツは完全に完敗だった。最後はもうみんなで「日本、さいっこー!!」と喜び合っていた。叫びすぎて喉が枯れてしまった。
試合後に息子は「本当に来てよかったな!楽しかったな!」と何度も興奮気味に話していたので、日本代表には感謝しかない。素晴らしいプレーが目前で展開されていくさまは圧倒的だったし、逆サイドなんかは試合運びが速すぎて着いていけなかったくらいだった。いやはや、こんなにレベルアップしているとは。今後の日本代表のプレーが楽しみでしかない。