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急がば回れ、今日は雨。森美術館にブルジョワの展覧会を見に行く。

昨日、一昨日と急に冷え込んだ東京。昨日は30分以上もかけて六本木にある森美術館に出かけた。

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30分以上かけて六本木に来ているが「はなまるうどん」の看板に惹かれて地下に吸い込まれてしまった。結果としてツルツルうどんを食べている。食べ終わって地上に上がると今度は雨が降っていた。日本の雨はにわか雨でも結構な雨量になるため10分も歩くとびしょぬれになることよのぉ、というわけで目にとまったCINNABONというシナモンロール専門店でカプチーノを飲みながら雨宿りをしている。

あと10分のところで足止めを喰らっているわけだが人生とはそんなもんなのである。目的地にはなかなか辿り着けない。別に急いでいるわけでもないが「急がば回れ」ということで縁起を担いでおこうではないか。確かに雨足は弱まってきたが六本木という土地柄、英語でビジネストークを割と大きな声で展開しているグループの姿が見られる。新井薬師前とはいささか事情が異なるのだろう。

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というようなことをカフェで無印良品の小さな手帳に走り書きをしていた。雨に打たれたせいなのか森美術館の館内で体を冷やしたのが良くなったのか、今日はどうもいまひとつ本調子ではない。娘の学校にお世話になっている先生方を訪ねて帰ってきただけでクラクラした。気温がまた急に上昇したせいなのかもしれないし、久しぶりに「お母さん」という役を演じる必要があって気疲れしたのかもしれない。どちらにしても、もう夏の暑さだけは勘弁してほしい。東京滞在も、もうすぐ2週間が経つがどこにいても同じことで観光にはさっぱり興味がなく、近所で走ったり銭湯に行ったり古本屋で購入した本をパラパラとめくったりする時間が幸せだと感じている。
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「お母さん」といえば昨日は森美術館でルイーズ・ブルジョワ展を見てきた。巨大な蜘蛛の作品が六本木ヒルズに置かれているのをご存知の方も多いだろう。

「かまえる蜘蛛」2003年

蜘蛛は糸でタペストリーを直す修復家であり、子供たちを守る保護者でもあったブルジョワの実母を象徴する大切なモチーフとして多くの作品に登場します。

「かまえる蜘蛛」の解説より抜粋

彼女の作品だとは知っていたものの、そこに「母性」についての意味合いがあるというのは把握していなかった。この解説には相反するふたつの意味が内在する、とあり「母性」がときには我が子をおびやかし不安にさせてしまうことがある、と記されていた。母親とは何か、家族とは何か。ジェンダーや出産、授乳に関する作品も多く展示されていた。


「良い母」2003年


「罪人2番」1998年

「家族」2007年

誰しもが何らかの葛藤を覚える「家族」や「子育て」、「母であること」。見ていて辛くなるような作品も中にはあったがブルジョワは作品に昇華させることで何とか正気を保っていたのかもしれないな、と思ったりもした。

「青空の修復」1999年

美術館の外へ出たらまだ小雨が降っていた。ぐったりとして帰宅。作品と対峙するのにも体力や気力が必要なのだろう。






*タイトル写真はルイーズ・ブルジョワの「ヒステリーのアーチ」1993年

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