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いつの間にか人生の半分以上をベルリンで過ごしていることになっていた

「ベルリンに何年くらい住んでるの?」

新しい環境に入ったり、最近親しくなった人にこう聞かれることがある。そして、30年くらいだと答えると大抵の場合はかなり驚かれる。

「え、ながっ!」

せいぜい住んでいても5、6年とか7、8年だろう、と相手が思っているからなのかもしれない。10年経ったときはそうでもなかったが20年経ったときには自分でも「もう20年になるのか、長いな」と感じたものだ。

かなり雑ではあるが10年区切りでざっくり何をしていたのかと振り返ってみたらこうなった。

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1995年〜2005年:仮ビザ→語学ビザ、DSH取得後に大学入学→学生ビザ、モスクワでインターン(2001年2月から約半年)、ベルリンで映像制作会社に就職(2002年2月から)
2005年〜2015年:仕事でロケ三昧、無期限滞在許可入手(2007年)、結婚・第一子出産(2009年)、第二子出産(2012年)→退職、失業保険→フリーランス
2015年〜2025年:育児兼フリーランス、再就職(2004年7月から半年)、雇用先プロジェクトから完全撤退、フリーランス兼再求職中

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2002年にドイツ人の知り合いが偶然新聞に出ていた求人情報について知らせてくれて、応募を出したのが映像制作会社だった。社長は日本人で主に日本のテレビ番組の制作に関わっていた会社である。それまではテレビという媒体にそれほど興味もなかったのだが撮影現場が好きで(もちろん楽しいことばかりではなかったが)結局、10年ほど撮影コーディネーターの仕事を会社所属でやっていたことになる。

途中で東京で働きませんか、というようなお話もあったのだが満員電車に揺られて通勤している自分の姿がうまく想像できなくてお断りしてしまった。2004年くらいの話だったので、あのまま東京で働いていたらこれまた全く別の人生になっていたことだろう。こんなふうに30年も海外に住んでいると何度か転機のようなものが訪れるタイミングというものがある。

それでもその度にベルリンに戻る、あるいは留まる選択をし、今に至るわけだが結婚・出産というイベントを経てしまうと、これまでのように自分だけで判断して動く、ということに対してのハードルはどうしても上がってしまう。自分の中で一番難しいのはそういう意味でも最後の10年間だよなぁ、とこれを書きながら思ったりもするわけで。

今からちょうど10年前くらいからベルリンという街の性格がずいぶんと変わリだしたことも付け加えておきたい。どこか寛容でゆるい街から、ゆとりがなく急かせかとした一般的な都市として急速に変化したのがこの頃からだ。政治的にも2015年というのは大きな転換期に当たる年だったように思う。ただ、そんなことに構っていられないくらい慣れない育児に翻弄されていた。

その後、2020年から数年間のコロナ禍を経て、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとパレスチナの問題など世界情勢も不安定になる一方のように見える。トランプ氏も大統領に就任したばかり。

端的にいえば、ここ5年間はかなりのハードモードで本帰国する知人友人が後を絶たない状況なのだ。その上、自分も気づけば50を過ぎているじゃないか。

そりゃ、昔のようにはいかないよね。

そう感じることが増えてきた。そして気づけば海外で暮らしている方が日本のそれより長くなってしまった。来月はいよいよ、ドイツでも総選挙が行われるが結果次第ではさらに暮し向きがハードになるんだろうな、と今からため息しか出ない。来るべきときが来たら、またさっさと決断して行動しなければいけないな、とある程度の覚悟はしているつもりだ。

とかなんとかいっても、結局のところなるようにしかならないのだけれど。






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ベルリンのまりこさん
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