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案ずるより産むが易し

参ったなぁ。2024年はほとんどフリーランス案件がなかったから給与明細がふたつしか出せないじゃないか。しかもそのうちのひとつは円建て、しかも現金払いだった。これではどうも心許ない。

そんなことを思いながらダメ元で吹きっさらしの一本道をさっきまでてくてくと歩いていた。Verdiという労働組合がプレス証を発行してくれるのだがその場所がなんともいえない辺鄙な場所にあるためだ。ここにも会社時代からずっとお世話になっている。もうかれこれ20年くらいだろうか。その間、顔馴染みの担当者がずっと変わっていないのだからすごいことだ。

今では数少なくなった占拠ハウス

プレス証の発行料金も今年からまた値上げ。何もかもが値上げしているので仕方がないとはいえ、さすがに厳しい。それでも1年間美術館や博物館の入場料などが無料になるという特典があるので背に腹は変えられない。必要経費だと思うしかない。それより無事に入手できるんだろうか。

前回の話だと建物内で引っ越しをするということだったので正面ではなく、記憶通り裏手に回って入口を探す。受付で書類に必要事項を記入し、館内の扉を開けるためのチップを受け取る。少しセキュリティ度が上がった様子。「エレベーターで2階に上がってそのチップで扉を開けてください。左に2度曲がったところに2C05室があるのでそこでお受け取りできます」とのこと。2C05か、とドイツ語でツヴァイ・ツェー・ヌル・フンフとブツブツ唱えつつ2階に上がる。エレベーターを降りたところで扉に阻まれるが緑色のチップで何なく開閉。世界はダンジョンでできているのだ。こんなふうに感じるのもFFXのやりすぎなんだろう。

その辺にいるキーパーソンに話しかけ、扉を開ける鍵(この場合はチップ)を入手後、彼の言った通りに道を辿って初めて目的地に到達できる、のだから。

ドイツ語で暗記しなくても扉を開けたら部屋番号の案内が出ていた。難なく部屋にたどり着いたが先客がいたので廊下でしばし待つ。入れ替わりで部屋に入ったら顔馴染みの担当者が疲れた様子で迎えてくれた。年末年始は多くの人がまとめて更新にくるせいだろう。そのおかげというかこれまで書類に不足があった試しがないので最初の1枚だけにチラッと目を通し5分も経たないうちに支払いも済ませ、あっけなく更新が終わっていた。

なんだ、いろいろ心配して損しちゃったな。

拍子抜けた気持ちでまた地下鉄の駅までてくてくと歩いて戻った。

まだこの辺りには空き地が残っている

今年はフリーランスの案件は入るんだろうか。

そんなことを思いながら帰宅。コーヒーではなくビタミンCの入ったレモン風味の飲み物を飲んでいると電話が鳴った。電話って鳴るもんなんだね、という気持ちになりながら出ると日本から撮影案件に関する打診が入ったのだった。

さて、どうなりますか。撮影案件が入ったら就職は延期しざるを得ないし、何事もタイミングありき。ただ滑り出しとしては成立してもしなくても悪くない気がしている。




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ベルリンのまりこさん
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