『ビジネスパーソンのための人工知能入門』を読んでみた
こんばんは!ざきさんです。
日本に戻ってきてホッとしたのもつかの間体調崩してしまいました。泣
おまけに今週は花粉がすごく飛んでるみたいですね。なかなか厳しい洗礼を受けています笑
さて、今回は『ビジネスパーソンのための人工知能入門』(巣籠悠輔)をご紹介します。この入門書は、章立て・論理構成・事例のわかりやすさ・内容から得られる学び、どれをとっても素晴らしかったです。
読んだきっかけ
この本に出会ったのは大学の図書館です。春休みに入り、自由な時間ができたので、図書館の中をのんびりと歩きながら色々な本を眺めていたら目に飛び込んできました。
人工知能についてわかった気でいるかもしれないから概念や仕組みをきちんと理解したいと思い手に取ってみました。
本書のポイント
①弱い人工知能と強い人工知能
②「環境」や「状態」が明確でない課題についてはアウトプットが出せない
③意味づけを行うのは人間
①弱い人工知能と強い人工知能
昨今、新聞やニュースで「人工知能」という言葉を見ない日はないくらい巷では人工知能が話題になっています。「人工知能に仕事が奪われるのではないか」といったこともかなり言われていますね。
ただ、このようにバズワード的に扱われていると言葉が一人歩きし本質を見失ったまま議論されてしまうことが多々あります。
実は人工知能には明確な定義は存在しません。研究者や実業家などの間でも様々な定義が存在します。ただ、人工知能ができることによって分類することはできます。
それが弱い人工知能と強い人工知能です。
正確にはそれぞれ
「弱い人工知能=特化型人工知能」
「強い人工知能=汎用人工知能」
と呼ばれています。
特化型人工知能と汎用人工知能の違いは簡単に言うと、行うことのできるタスクが限定されているか否かです。事前に決められた(プログラムされた)限定的なタスクしかこなせないのが特化型人工知能で、現段階ではこの弱い人工知能しか存在していません。
汎用人工知能は何も指示を与えなくても自ら考えてアウトプットを出せるのですが、これまで半世紀ほど研究がなされていますが未だに完成はしていません。シンギュラリティ(技術的特異点)とは人工知能が人間の知能を上回ることですが、これはすなわち汎用人工知能の誕生を表していると言えるでしょう。シンギュラリティに対する私見などはまた別の機会に述べたいと思います。以下では人工知能(特化型人工知能)として考えます。
②「環境」や「状態」が明確でない課題についてはアウトプットが出せない
人工知能が広く注目され始めたのは2016年頃からだと思いますが、そのきっかけとしては2015年10月にDeepMind社のアルファ碁が囲碁でプロの騎士を負かしたことが挙げられます。将棋やチェスでも同じようにプロ棋士が人工知能に敗れるということが起きています。
プロに勝利したわけですから十分すごいことをやってのけたわけです。
ただ、「そうしたら人工知能は誰にもできることも当然できるだろう」と考えてしまっては尚早です。例えば、「お菓子買ってきて」という指示に対して人間であれば小さな子であっても難なくこなすことができると思います。しかし、この指示に対して人工知能はうまく動作してくれないでしょう。「どこに行けばいいのかわからない」「お菓子って何のお菓子?」などといった曖昧さを自分で定義できないため止まってしまうのです。
人工知能は求められたアウトプットに対して、「環境」や「状態」などの条件が曖昧だと身動きが取れなくなってしまうのです。逆に、プログラムする際はきちんと条件設定を行ってあげることが肝になってきます。
③意味づけを行うのは人間
現在は、インターネットの技術の向上やスマートフォンなどのデバイスの普及によって多くのデータが集まり、分析性能も向上しています。これによってものごとのパターンから法則を見つけてアウトプットを出す機械学習が可能になり、人工知能が発展しました。データさえあれば、これまで職人さんなどが長い時間で身につけた勘などを人工知能は簡単に習得することができます。
機械学習には大きく分けて3種類「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」が存在します。このうち「教師あり学習」と「強化学習」は事前にアウトプット像がはっきりしていますが、「教師なし学習」とはアウトプットが出される前にどんなものかを予想できないものを指します。このような場合、人工知能のアウトプットを受け取った人間が意味づけをする必要があります。例えば、ある製品をどんな人が買っているのかを知りたいとき、購入者の特徴はアウトプットを見るまで分かりません。人工知能のアウトプットを見た人間が「この商品を買うのはこういう人なのではないか」と読み取る必要があるのです。
また、人工知能といっても何に特化しているかでいろんな使い道があります。(例えば、アルファ碁は囲碁が得意だし、ルンバはお掃除が得意といったような)どんな場面でどの人工知能を使うのが良いのかといったライフデザインのような意味づけも人間に求められてくるのではないでしょうか。
感想・まとめ
今回は非常にまとめるのが難しかったです。正直、書ききれなかったり説明足らずなところがたくさんあるので、ぜひ本書を読んでもらえたらと思います。
最後に、昨今の人工知能ブームの中で感じていることを書きます。
人工知能に任せたら人間の仕事はなくなってしまうということはありません。人間にも人工知能にもそれぞれ得意不得意があるからです。
人間の弱い部分は人工知能に助けてもらい、人間の強い部分は自分たちで行っていくというように人間と人工知能を補完的な関係としてとらえていくことが建設的であり、私たち人間が快適に暮らすために大切なのではないでしょうか。