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置き去り猫を助けたい!㉓

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新しい発見の毎日

カモちゃんを保護してからの日々は、想像していたよりもとても穏やかで落ち着いたものでした。控えめな夜鳴き(にゃあお...にゃあお...とかわいく鳴く)と多少のドタバタ以外は特に困ったこともなく、カモちゃんも緊張はあるものの落ち着いているようでした。

そんな様子を見て、1日のうち数時間を猫部屋で過ごすということを試しました。いつか里親さんと暮らすであろうカモちゃんに、同じ空間に人がいることに慣れてもらうためです。

始めは不安そうにしていましたが、数日すると少しだけリラックスした姿を見せてくれるようになり、さらに5日目には以前のカモちゃんからは想像もできない姿を見せてくれたのです。

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いつもようにハウスの中からじっと私を見ているカモちゃん。でも今日はなんだか視線が柔らかい。今ならいけそうな気がすると感じた私は急いでちゅーるを取りに行き、ゆっくりとカモちゃんの口元に近づけてみました。

すると、信じられないことに袋からペロペロ舐めてくれたのです!強烈パンチでケージをちゅーるまみれにしていたあのカモちゃんが...!

これまでの大変だった色々を思い出し、思わず泣いてしまいました。カモちゃんを思って泣くのはこれで2回目。でも今回の涙は嬉し涙です。勇気を出してくれたカモちゃんに「ありがとう」と何度も言いました。

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それからもカモちゃんは初めての嬉しい瞬間をいくつも見せてくれました。10日目には私の目の前でごはんを食べ、13日目にはなんとケージから出てきてくれました。うちの猫キューちゃんが珍しく自分から挨拶に行き、それにつられてカモちゃんが出てきて、さらに鼻ツンまでしたのは本当に驚きました。ずっと他の猫が恋しかったのかもしれません。

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この日からは毎日少しだけケージから出てくるようになり、外の景色を眺めたり匂いを嗅いだりする姿や伸びをする姿、ハウスのベッドで寝息を立てながら寝ている姿、おやつのあとに顔を毛繕いする姿まで見せてくれました。意を決したようにトイレに行き目の前でおしっこをしてくれた時は、私のカモちゃんへの思いが少しずつだけど確実に伝わっている気がして、本当に嬉しくなりました。とても愛おしい日々でした。

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一緒に暮らしたい、でも暮らせない

カモちゃんのことを知れば知るほど、このままずっと一緒に暮らしたい思いが募り、毎日のように悩みました。私が里親になることはできないかと。けれど私は置き去り猫活動をする時に自分で決めていたことがありました。

それは、自分の感情を優先しないこと。こうしたいとか、これは疲れるとか、そういう感情は一番後回しにしようと決めていました。何よりも第一に考えることは、シンプルに猫たちの幸せでなくてはならないと。

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そのルールを思い出した時、やっぱり私はカモちゃんの猫生をもらえないと思いました。私はあと半年後に海外に移住する予定があり、怖がりでまだ人にも慣れていないカモちゃんを長時間飛行機に乗せて、また一から新しい環境で頑張らせることはできないと思いました。

こう決心できたのは、ネコリパにカモちゃんを託す前日の夜でした。
㉔につづく


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