置き去り猫を助けたい!⑯
優しい人々
話が前後しますが活動を始めたばかりの頃、山のようにあった不安の中に金銭的な不安がありました。mayabellさんが折半を申し出てくれましたが(本当にすごい人です)、そこまで負担をかけたくなかったので自分で何とかできればと考えていました。
最初に思いついたのはクラウドファンディング。置き去り猫たちにまつわるグッズを作って少しでも活動資金に充てることができればと。ですが飛ぶように過ぎるお世話の日々の中グッズを作る余裕などまったくなく...。
やはりとりあえずは持ち出しで頑張って、余裕ができたらグッズを作ろうと考えました。
本当にありがたいことに数人の方からカンパの申し出はもらっていたのですが、じゃあここにお願いしますと自分の口座を伝えるのも気が引けるなぁ...と悩んでいた頃、友人夫婦の家に泊まらせてもらう機会がありました。
友人夫婦は猫たちと私のことをとても心配してくれていて、やはりお金はどうしてるのか気にしていました。
とりあえず持ち出しであとでクラウドファンディングをしようと思っていることを伝えると、手数料がもったいないから(どのサービスも大体10〜20%)直接口座に振り込みたいと言ってくれたのです。そして「みほさん(私)とmayabellさんと私で折半しましょう」とまで...!
この頃はまだ1匹もトライアルが決まっていない時期で、先の見えない不安に正直押しつぶされそうになっていました。なので、この時のこの言葉はありがたすぎて友人夫婦の前で少し泣いてしまいました。
これまでカンパの声をかけてくれた人たちの差し出してくれた手を、素直に掴んでもいいのかもしれないと思った出来事でした。
猫たちの銀行口座を開設
カンパを受けるなら新たに口座を開設し、お金の流れがきちんと見えるようにしたいと思いました。団体として口座を開設する方法を調べましたが難しそうだったので、mayabellさんに新たに口座を作ってもらいカードと通帳でお互いに管理できるようにしました。
口座開設をTwitterアカウントでお知らせして1週間、記帳しに行ってくれたmayabellさんから慌てた様子の連絡が入りました。
「多額のご支援が振り込まれてます...!!」
通帳には声をかけてくれた友人のみならず面識のない方まで、たくさんの名前が並んでいました。房総半島の片隅に捨てられた猫たちのために、こんなに大勢の人が手を差し伸べてくれるなんて...。
感謝しても感謝しても、どんなに感謝しても足りないです。
すべての方に会いに行き直接お礼を言いたかったですが、猫たちを幸せにすることで恩返ししようと心に決めました。
前住人の「So cute!」に唖然
優しい人たちの善意に触れることができた反面、無責任な人の無関心にも触れる出来事がありました。実は前の住人(以下Dさん)に1度だけ会う機会があり、お隣さんも交えて話し合いをしたのです。
お隣さんが何度も電話をしてくれたことでこちらに来ることになったDさん。自分が置き去りにした猫たちのことを一体どう思っているのか...。
Dさんに責任を取ってもらいたい思いはもちろんありましたが、それ以上に猫たちがどんなに大変な思いをしてきたか、そしてもう2度とこんなことはしないで欲しいということを伝えたかったので会うことにしました。
ケンカをするつもりはまったくなかったので、どうやって伝えようか前日の夜まで散々悩みました。そして緊張しながらいざ会ったDさんの第一声が
「So Cute!」※Dさんはアメリカ人
So cute...?ソーキュート??猫部屋にいる猫たちを見て、ニコニコしながらそう言ったのです。完全に出鼻をくじかれました。いや、元々はあなたの猫だよね??という疑問を抱えつつとりあえず話し合いの場へ。
世間話をするDさんと、なかなか切り出せない私を見かねてお隣さんが助け舟を出してくれて話はやっと本題に。Dさんの言い分はコロナで仕事がなくなり、家賃も払えなくなったので猫を置いて引っ越したと。
人には色々な事情があるのはわかります。でも里親を探すとかせめてTNRするとか何かできることはあったはず。私だって弱小イラストレーターでお金なんてないけどできることはたくさんあります。
Dさんはせめてものお詫び?に1万円を払おうとしましたが、散々お金がないと嘆かれたあとだったのと、涙が出るほど嬉しい善意のお金の中にその1万円を混ぜたくないという変な意地みたいなものから受け取りを断ってしまいました。
あとはDさんが猫たちの顔を1匹も覚えていなかったことが悲しくて悔しくて(ピーちゃんやカモちゃんは何年もここで生きてきたのに!)、そんな人に簡単に罪滅ぼしをして欲しくなかったのです(あとになってお金はお金だし、猫たちのために受け取れば良かったかも...と悩みましたが)。
いつかDさんが何かを思い行動したくなった時のためと、また猫を置き去りにするくらいなら相談して欲しいと思ったので連絡先だけ交換し、その日の話し合いは終わりました。
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