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置き去り猫を助けたい!⑥

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ビワちゃんはとても大人しいキジトラの女の子で、人間を怖がる様子はないけれど常に遠巻きに見ているなんだか不思議な雰囲気のする猫でした。目がぱっちりと大きくきれいなアーモンド型でかなりの美形。名前は外房の名産、房州びわから取りました。

私が内見の時にちらっと見かけたキジトラ猫は、多分ビワちゃんだと思います。この少し寂しげに見える瞳と佇まいが心に焼き付いてしまって、東京からはるばる引っ越してきましたよ、ビワちゃん。

私には近づいてこないビワちゃんですがお隣さんには慣れているようで、いつも穏やかにお隣さんの庭で寛いでいました。こちらにごはんを食べに来ることも少なくあまり接点がないままでしたが、ある時から頻繁にごはんをもらいに来るようになりました。そして、この変化には理由があったのです。

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子猫が鳴いてる...

毎日の日課になった午前中のごはんタイムを終えて仕事部屋で作業をしていたある日、窓の外から微かな声が聞こえてきました。「ミィ...ミィ...」という小さな声で、まるで赤ちゃん猫の鳴き声のような...。

いや、もしかしたらメンバーの中で一番幼いマメちゃんの声かなと思いつつも、ものすごく嫌な予感がしていました。仕事を中断して声のする方に行ってみると...やっぱりいました。

なんと、ちっっちゃいサビの子猫が心細そうに鳴いていたのです。

見つけた時の正直な感想は「増えた...」でした。6匹でも荷が重くてめちゃくちゃ不安なのにさらに保護対象が増えて愕然としました。どうしよう。

あまりにも小さくて心配なので捕獲を試みましたが、警戒されて薮の中に入ってしまったので一旦断念。出直そうと家に帰る途中にお隣さんに会ったのでこのことを話すと、「あっちにも1匹いるよ」という驚きの言葉が。

恐る恐る見に行ってみると、お隣さんの庭に停めてある車の下にこれまたちっちゃなキジトラ子猫がビワちゃんの後ろに隠れるようにしていたのです。

ビワちゃん、お母さんでした。

子猫たちは生後1ヶ月半くらいに見えたので、私がちょうど引っ越して来た頃に産んだことになります。餌やりをしていたお隣さんでさえもまったく気が付かなかったので、よく上手に隠してきたなと驚きました。

ビワちゃんは子猫を見られたことで警戒したのかキジトラ子猫を連れて裏の薮に入ってしまい、それと同時にサビ子猫の声も聞こえなくなりました。ちゃんと合流していればいいけど...。子猫の身が案じられます。季節は10月、寒くなり始めていたので、mayabellさんと相談してとにかく最優先で子猫を保護しようということになりました。

ところが、子猫たちはこの日からぱったりと姿を現さず。ビワちゃんが隠してしまったのか、藪の中や家の周辺を探しても気配すら感じなくなってしまいました。なんとか早く保護しなくては、子猫は割と簡単に死ぬ...。

焦りながらも子猫を見つけられないまま2日経ち、いつも通り朝ごはんをあげている時にふとビワちゃんの行動に違和感を覚えました。なぜかここ数日、うちのテラスの下からニュッと顔を出してこちらを見ているなと。以前はお隣さんの庭の方からトコトコやって来ていたので、変だなと思いつつ食べやすいように小皿にごはんを入れてテラス下に置いてみると、またニュッと頭が出て来ました。

よしよし食べてるな............ん???

頭が小さい、しかも二つ...!? そうです、出て来たのはビワちゃんではなく子猫たちでした。まさか私がいつも餌やりしていたテラスの真下にいたなんて。ビワちゃんの言いつけを守ってじっと息を潜めていたのでしょう。まさに灯台下暗し。

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⑦につづく

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