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自我のプログラム

今、日本中が、自我のプログラムによってザワついているらしい。
私の日常は変わらない。
台風もそれたらしく、首も重くないし、暑くもなく寒くもない、私とクロンにとって、実に過ごしやすい穏やかな一日であった。

引っ越してからの最大の念願だった井戸が完成して、2週間が経った。
この辺は30メートル掘るのが普通だそうで、30メートルの深さとなると手動ポンプは使えず、電動ポンプを設置して汲み上げる。

井戸掘りの事を「さく井」と書いてサクセイと読むのだけれど、私が住んでいるこの辺は「さく井」ではなく「さく泉」サクセンと言うみたい。

最近、井戸を掘る家庭は増えているらしいけど、さく泉業者が減っていて、私が電話で探した5軒のうち、連絡がついたのは1軒だけだった。

実際の井戸掘りを初めて目の前で見て、井戸掘りの奥の深さや、若い職人さん達が汗を流して黙々と作業を進める姿が、とても美しいと思った。

一台はクレーン、一台はユンボ、一台には鉄のコンテナみたいな箱と大型の発動機を載せて、トラック3台で来たのにはビックリした。

掘り進む間に出る泥水を溜める、棺桶が入るほどの穴を庭に二つ掘る。
2m3ほどの鉄の箱を置く、そのための盛り土をする。
6mはあるクレーンを設置して、ボーリングしていく。
井戸完成まで、ユンボは庭に置きっぱなし。

大抵は、家を新築する時に一緒に作るものらしい。
「井戸お願いします♪」とお願いして出来るものではない。

30メートル掘って行く間の土質・水の色を瓶に入れながら、どの辺の水を汲み上げるのが良さそうか、設置するポンプの深さを決めていく。

井戸水は使わないと澱んでしまうから、一般的な家庭で使用する程度の量であれば、毎日使って循環させるのが良いのだそうだ。
なので、毎日、1時間ぐらいを夕方の日差しが弱くなった頃に庭に出て、まだ何も無い、雑草だけの庭に水を撒いている。
何も考えず、ひたすら水を土に返す感じで‥‥

井戸、サイコー。

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