英語教師にとってのCLILの魅力① 生徒主体の学びへの転換

 CLILとは、Content and Language Integrated Learningの略です。「内容言語統合型学習」と訳されます。すごーく簡単にいうと、英語で他教科の内容をアクティブ・ラーニング形式で扱うスタイルの教授法です。

 「CLILって大変そうだね」とよく言われます。たしかに実際準備はたいへんかもしれません(笑)しかし、僕にとってCLILは色々な魅力をもった指導法です。今回は「教師目線」で、その魅力のひとつについて書いてみたいと思います。

外国語教授における「教師主導の授業」に対する悩み

 中学校や高校で「英語をおしえる」って、どうしても教師主導になることが多いなと悩んだことがあります。

 (当時は)はじめて英語を習う中学生には基本的な文字の書き方や英文法を教えないと「英語で生徒の主体的な活動」ってちょっと難しいし、活動を入れたとしても正解ありきの活動になりがち。

 初見の状況設定を提示してそのなかで創意工夫を求める活動を時折やってみるものの、結局教師が設定する状況がないと成立しないわけで、授業が教師主導の既定路線に沿ったものとして「こなされていく」ことに違和感をずっと感じていました。

 既定路線にそって学ぶべきものが習得されていくのであればそれはそれとして価値があるものなのかもしれないけど、教師が用意した既定路線でしか使えない(かもしれない)知識って「習得した」って考えて良いのか?とかもやもやしてました。ただ知識を押しつけてるだけで、それで小テストで点とらせて、習得「したことにしている」だけじゃないか?と。(意外と生徒も小テストで点とれるとそれだけで安心しちゃう)

 そのなかでCLILのフレームワークに出会って、「英語を教える」のではなく「生徒が英語で創意工夫するためのアシストとして、教師が英語を教える」という文脈の魅力を知り、「これだ!」と思いました。

 いま思えばCBI (Content-Based Instruction)やTBLT (Task-Based Language Teaching)でも「アシストとして英語を教える」概念は含まれているから、当時の自分はCLILじゃなくても「これだ!」って思ってたと思います(笑)

 「じゃあCLILじゃなくても、TBLTやCBIいいじゃん」と思われるかもしれませんが、いまの自分はそう思っていません。他にもCLILの魅力って色々あります。これについてはまた別の記事でまとめてみたいと思います。

自分が「教師主導」やだなぁと思った理由

 いま大学院で勉強していると、「なぜ自分がその指導(法)を選択したのか、よく振り返りなさい」ってめっちゃ言われます。

 これものすごく大事だなって思います。日々の指導って、先生の個人の経験則とか感覚で行われることけっこう多いです。だから指導法選択の理由を語れないと、結局授業は「教師主導」になっちゃうわけですよね。「教師主導」からの脱却がしたかったのに、結局「教師主導」になるっていう(笑)

 これについて僕は原体験にちかいものがあります。本校はニュージーランドに修学旅行で行くんですが、そのときあまりにも多くの生徒が英語を喋れていない様子を目の当たりにしました。本気で悔しがってる生徒をみて、これは何とかしたいし、この子たちならもうちょい何とかなるだろ、って相当本気で思いました。もうちょい具体的なエピソードもあるんですが、個人情報になりそうなので割愛します。

 つまり「修学旅行中に自然と生じる文脈のなかで使える英語」を身につけてほしいなと思っていたし、この目標であれば生徒との共通理解が得やすそうだと思ったわけですね。だから「知識をひととおりこなすだけの教師主導の押しつけ指導」に疑問を感じ始めたんだと思います。

 でも当然なかには「テストで点とること命」っていう子もいますよね。そういう子の価値観もまた否定されるべきではないと僕は思っています。だから文法の説明とかもしっかり上手にできるようになりたい。「CLILだけは一生懸命やります」だと、結局それは押しつけのような気がしてます。

 すいません話が逸れました。ほかにもCLILを選択する理由は色々ありますが、どんどん逸れていきそうなのでこれでおしまいにします。「じゃあ実際にどんな授業例がありうるの?」っていう点には、別記事(↓のやつ)で部分的にこたえていますのでよろしければあわせて参考にしてくださると嬉しいです。

「教師主導」を部分的にやめてみて感じた一番のよろこび

 ひとことでいえば、「こちらの想像をはるかに超えた成果物が出てきたとき」はめちゃくちゃ嬉しいです。

 そんなことまでやっちゃったの!?とか、こんな良い英文を頑張って書いたの!?とか、そういうのがたくさん生徒から出てきました。

 適切な補助を設けたうえで授業の時間を生徒に開放すると、こんなすごいことが起こるのか...と、感動することがたくさんあります。上記の授業例の記事でいえば、最後のプレゼンが「うわーすげー」ってのがたくさん出てくるんです。

 生徒から許可もらえたら、いつかそういう成果物とか感想とかもこちらで共有できたらなと思っています。(OKしてくれるかわかりませんが笑)

生徒主導の授業にしたいなら最も工夫すべきは「評価」

 これは恥ずかしながら最近思っていることです。もうすこし実践記録が積み上がってきたらまとめたいと思います。

 すごーく端的にいえば、「授業中は英語でひたすら活動させといて、結局成績は文法コテコテのテストで決まる」ってなったら、生徒やる気なくなりそうですよね?って話です。

 「あーじゃあルーブリックとか使って評価すればいいんでしょ?」ってことになりますが、どういうルーブリックをどう使うのかが大事なんじゃないかと今は思っています。すいませんまだもやっとしています。

 なにかの参考になりましたら幸いです。

 

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