色彩の教科書(4)「彩度」は派手・地味感と誘目性
色を見分けるための3つ目の基準は「彩度」。書いて字のごとく、色の鮮やかさの度合いを示す基準で、同じ色であれば、より純色(混じりけのない原色)に近いほど、彩度が高く鮮やかに見え、他の色が混じってくすんだ印象になるほど彩度が低い色となる。究極の低彩度、つまり色から彩度を抜いていくと、最後には白、黒、グレーになってしまう。色彩の世界ではこの彩度ゼロのグループを無彩色と呼び、逆に彩度が少しでもあり、色がついているグループを有彩色と呼んでいる。
この彩度の違いによって起こる印象の差は「派手・地味感」と「誘目性」。
彩度が高いほど、人に「派手」な印象を与え、彩度が低いほど地味な印象を与える。また彩度が高いほど、人の目を引き付ける力が強くなる。
よく皆さんが使う「トーン」という言葉。これは、ここで紹介した色の三つの基準(色の三属性)の中の「明度」と「彩度」をまとめて表現した言い方で、色調という言葉でも表現される。例え色相が赤や青など異なっていても、トーン(明度と彩度)が合っていれば、色の調子としては共通した印象を作ることができる。