色彩の教科書(5)色相環は、輪になった虹
皆さんお馴染みの虹。日本では一般的に7色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)で表現されている。
この赤から紫までの色に赤紫を加え、7色よりもう少し細かく色分けしたものを、ぐるっとリング状につなげると、色相環(しきそうかん)というものが出来上がる。世の中にある色の代表的なものが一つの輪になった形だ。
この色相環によって、世の中にある正反対の色をすぐに見つけることができる。例えば、緑色の正反対の色は、円の180度逆側にある赤色。黄色の正反対の色が紫色であることがわかる。この正反対の色のことを、色の世界では「補色(ほしょく)」と呼んでいる。
この補色の関係にある正反対の2つの色は、次のような現象を起こす。一つは残像を残す効果。例えばじっと赤い色を見つめて、その後、白い紙などに視線を移動すると、そこに補色の関係にある正反対の色、緑の残像が同じ形で浮かび上がる。
そしてもう一つの効果は、引き立て効果。補色の関係にある2つの色を並べると、お互いの色がもっとも引き立つ。例えばレタスにトマト、お刺身に緑の大葉。日ごろ行っているこうした料理のちょっとした演出も、知らないうちに補色の効果を活用したものなのだ。
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