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私家版 ロックかるた 「て」

どうしても欲しくて、でも売っていない。だから、自分で作ってしまった「私家版 ロックかるた ブリティッシュ・ロック編」。
世界にたった1セット。

デビュー・アルバムは「13日の金曜」発売。
ブラック・サバスは恐怖のバンド。

1960年代末からイギリスでは黒魔術がブームになります。
アウレスター・クロウリー(1875~1947)というオカルティストが、ジミー・ペイジ、デヴィッド・ボウイ、映画監督のケネス・アンガーなどから支持され、文化面にも影響を及ぼします。
ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のアルバムジャケットにもクロウリーが描かれているのです。

こうしたブームの中で、1968年、オジー・オズボーンはバンド結成のためにメンバーを募集。
ベースのギーザー・バトラーが1964年公開のホラー映画『BLACK SABBATH』をそのまま頂戴してバンド名としました。

そして、いよいよデビューアルバムが発売されます。
1970年2月13日の金曜日。

「英国では、13日の金曜日は誰も出歩かない、リスクを負わない、家にいる日だった。何か恐ろしいことが起きるかもしれない。だから、わざとこの日にしたんだ」

ジム・シンプソン(マネージャー)

ジャケットに映っている建物は、メイプルダラムと呼ばれるイギリスのオックスフォードシャーにある15世紀築の水車小屋で、女性はモデルのルイーザ・リビングストーン。
オカルトな感じ。かっこいいデザインです。

フォトグラファーのキース・マクミランは、現在インドレバ名義でエレクトロニック・ミュージックを制作しているルイーザ・リヴィングストーンを選んだ理由として、身長が152センチで、周りのものが大きく見えるからだったと語っている。

ローリングストーン誌

「凍えるほど寒かったのを覚えているわ」と撮影時10代だったルイーザ・リヴィングストーンは語っている。「朝の4時に起きなきゃいけなくて、キースはドライアイスを持ってきて、水に入れてたわ。でも、うまくいかなくて、最終的に彼はスモーク・マシーンを使っていたわ。それで『そこに立ってて』と言われたの。これがブラック・サバスのためだとは分かっていたけど、当時それがどれだけ大きなことだったかは分かっていなかったわ」

ローリングストーン誌

この7カ月後、セカンドアルバム『パラノイド』発売。
これが、全英1位を記録。
そのときのランキングがすごい!
2位がローリング・ストーンズ、3位がサイモンとガーファンクル、4位がCCR、5位がツェッペリン、6位がディープ・パープル、7位がビーチ・ボーイズ。すごすぎる!

1位:PARANOID
2位:GET YER YA-YA'S OUT - THE ROLLING STONES IN CONCERT
3位:BRIDGE OVER TROUBLED WATER
4位:COSMO'S FACTORY
5位:LED ZEPPELIN II
6位:DEEP PURPLE IN ROCK
7位:GREATEST HITS - BEACH BOYS

Official Albums Chart:The UK's Top 100

ところで、そのジャケット。描かれているのは、裏ジャケを見るとさらによくわかりますが、木陰から剣と盾を持った男が、目の前に突然現れてきたといった場面です。
黄色いシャツに赤いタスキ、青いブリーフパンツに赤タイツ。頭は何やら正面にマークのようなもののついた白いヘルメット。
目をひん剥いて、口は中途半端に開き、口ひげを蓄えているようです。
これ、夜中に突然目の前に現れたら怖いでしょう。
危ないおじさんです。
でも、明るいところで見たら、絶対笑ってしまうと思います。原宿の真ん中とか、想像しただけで。
名盤ジャケットという理由からなのか、このデザインにはモノ申す人がいないようなのですが、本当のところ、みなさん、どう思ってらっしゃるのでしょう。
「キーフによるデザインもすばらしい」「ミステリアスで秀逸」という評も、見たことはありますが……。
たしかにデザイン担当はマーカス・キーフ。
ピンク・フロイド『原子心母』デザインのヒプノシス、イエス『危機』のロジャー・ディーンと並ぶ、スターデザイナーですけど。
収録されているのは名曲ばかりですから、それに引っ張られているんじゃないかなー、オカルト感も、黒魔術感もないんだけど~、なんて考えてしまいます。
私、天邪鬼なのかなー。

(つづく)


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