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私家版 ロックかるた 「み」

どうしても欲しくて、でも売っていない。だから、自分で作ってしまった「私家版 ロックかるた ブリティッシュ・ロック編」。
世界にたった1セット。

みんな辞めても頑張るフリップ。
キング・クリムゾンは永遠に。

ピンクフロイドの『狂気』、イエスの『危機』と並ぶ、プログレ最高傑作アルバムのひとつ、『クリムゾン・キングの宮殿』を作り上げたキング・クリムゾン。

『クリムゾン・キングの宮殿』は、日本では「ビートルズの『アビイ・ロード』を全英チャート1位から引きずり下ろしたアルバム」と紹介され、この都市伝説は今でもネット上で一人歩きしています。
それくらいのクオリティを持つアルバムなのです。
いかにもな逸話。納得してしまいます。
でも実際には、全英5位が最高。あれ? そうなんだ。
『アビイ・ロード』に代わって全英1位の座についたのは、実はローリング・ストーンズの『レット・イット・ブリード』です。

うーん、いかにも。こちらも納得してしまいますね。

さて、キング・クリムゾンですが、初期メンバーはロバート・フリップ、マイケル・ジャイルズ、イアン・マクドナルド、グレッグ・レイク。
さらに作詞と照明担当のピート・シンフィールドもすぐに正式メンバーとして登録されます。担当楽器がないという不思議なメンバーですが、この詩人ピート・シンフィールドは、アルバムのコンセプト設定に多大な貢献をします。世界観の提供といったものでしょうか。
このメンバーで作ったのがファースト・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』です。
いきなり「音楽とは、こういうものだ」と結論を語ってしまったような傑作です。
しかし、このアルバムを最後にイアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズが脱退。別のグループを作ります。
セカンド・アルバムの制作を始めると、とたんにグレッグ・レイクが脱退。
ELPを始める準備に取り掛かります。
グレッグ・レイクは助っ人のボーカルとしてクレジット。ベースは弾かず。
すでにこの段階でオリジナルメンバーはフリップと作詞・照明のピート・シンフィールドだけになってしまいます。
サード・アルバムはなんとかメンバーを寄せ集めて作り上げましたが、ライブは実施できず。
さらに4枚目のアルバムを作って後、ついにピート・シンフィールドもいなくなりました。フリップと決別です。
結局、フリップは新加入のメンバーとも意見が合わず、独りぼっちでバンドを解散します。

しかしフリップの音楽への情熱はまったく衰えるということを知りません。
イエスからビル・ブルーフォードを引き抜き、友人のジョン・ウェットンを勧誘して、新生キング・クリムゾンを結成。傑作アルバム『太陽と戦慄』をリリースします。
これがまた凄い。まさしくプログレ。先を行き過ぎてる音楽です。
ところが、ブルーフォード、ジョン・ウェットン以外のメンバーは早々にいなくなってしまいます。
三人だけで、これもまた傑作アルバム『レッド』(1974年)をリリース。
三人が並ぶアルバム・ジャケットも印象的でした。かっこいい。
そして、再びクリムゾンは解散となります。
またかー。
これでクリムゾンは終わりと皆が思っておりました。

しかし、1981年、フリップはビル・ブルーフォードと再び活動を開始。
アルバム『ディシプリン』をリリースします。
でも、あんまり受けなかったように記憶しています。
で、84年にまた解散。
こうなると、解散もお家芸ですね。
フリップが音楽のアイデアを思いつく。
メンバーを集めてアルバムを2~3枚出す。
ま、こんな感じかー、と解散。
その繰り返しです。
2000年代に入るとまた気合を入れて、新作『ザ・コンストラクション・オブ・ライト』を発表。
来日して中野サンプラザなどでライブも披露します。
ただ、お客さんは『…宮殿』や『21世紀の…』など初期の曲も聞きたいのに、新作中心、旧作は『レッド』『太陽と戦慄PART2』くらいという選曲にやや不満が残ったようでした。

私は、この公演を見るために中野サンプラザに出向き、当日券をチケット・カウンターでゲット。当日ですから、ほぼ一番後ろの席です。
そんなチケットを手にして、さて入場しようというときのこと。
一人の紳士が、「今日は急用で鑑賞できない。よい席のチケットを持っているから、あなたのチケットと交換しないか?」と話しかけてきました。
「え? もしや偽チケット詐欺?」
そんなことを考えながらも、なぜか紳士の持つチケットを確認することもなく即交換。クリムゾンでだまされるなら本望。いや、そんなこと、ありはしない。
案の定、そのチケットで無事入場ゲートを通過。
そこで席を初めて確認しました。
前から3列目。うひゃー。中野サンプラザだから、近い、近い。
改めて、その紳士にお礼を申し上げたいと思っております。

さて、閑話休題。
中野サンプラザに当日券で入れるくらいの人気かー。
フリップさん、これからのキング・クリムゾンはどうなるのでしょうか?

2010年代、多くのファンが心配する中、フリップは驚きのトリプル・ドラム編成で新生キング・クリムゾンのライブ活動を開始。
旧作の名曲もガッツリ選曲して、往年のクリムゾン・ファンを喜ばせてくれました。
来日公演の会場は中野サンプラザではなく、文化村のオーチャードホールです。
東フィルや松山バレエ団が公演するところですからね。
クラシックの会場というイメージです。
チケット代もそこそこ高い。
でも、いいんです、ステージで座ってギターを弾いているフリップ先生が拝めれば。
そして2020年代。フリップはもうライブは無理だと話しています。
寄る年波にはかなわないということですが、なにか新しいアイデアを思いついたら再稼働してくれるんじゃないかと期待しています。
クリムゾンは永遠です。

(つづく)



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