色彩の教科書(12)色は肌でも感じている
赤を見ると興奮する、これは何となく理解できるものの、次のような疑問を持った方もいるかもしれない。
「赤い色で興奮するのは、むしろその色を目にする相手なのでは?」
つまり、赤いユニフォームを着たら、強くなるのは相手では? そんな疑問だ。
実は赤に限らず、人間は色を目で見るだけでなく、肌から感じている。目に見えない紫外線や赤外線が、日焼けや暖かさなど肌に様々な影響を与えていることを考えれば決して驚くことではない。これを証明する実験がる。ライトトーナスというもので、両目を隠して光が目から感じられない状態で、身体に様々な色の光を当てる。すると、赤やオレンジなどの暖色系の色を照射すると、筋肉の緊張度が上昇して収縮し、同時に脈拍、血圧も上昇する。逆に青などの寒色系の光を照射すると、筋肉の緊張度は下がる。赤い色を身につけることは、赤を肌に照射したのと同じ状態になり、筋肉の緊張度が上がり、興奮するという現象が身体に起きることになる。
この実験で起こる筋肉の緊張度合いはライトトーナス値という値で示される。平常時の数値が23で、中間色のベージュ、パステルトーンの場合はこの数値となる。 筋肉を最高に緊張させる赤のライトトーナス値は42。青のライトトーナス値は24という結果が出ている。
家でもできるライトトーナス体験。たとえば、
同じ温度の水(お湯)が入った容器が二つ。
一方には青いインク(青い水彩絵の具など)
もう一方には、赤いインク(赤い水彩絵の具など)
目を閉じて、二つの容器に手を入れてみると・・・・
赤い水(お湯)の入った方が、より暖かく感じるはずです。