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色彩の教科書(8)暗い色は本当に重い!色と重さの関係

人が重さに対して感じる感覚は、色によって大きく変化する。
これは、色の明るさ「明度」によって起こる現象だ。人間は明るい色ほど重さを軽く感じ、暗い色ほど重く感じる。
例えば、色と重さについてのこんな実験がある。同じ大きさの箱。一方は黒い色をした100gの箱。もう一方の箱は白い色。この白い色の箱の重さを徐々に増やしていき、黒い箱の重さと同じになったと感じたときを計測したところ、なんと187gとなった。つまり、黒と白の間では、倍近い重さに対する感覚の差が生まれた。
こうした感覚の差は、明度によって起こる現象なので、もちろん黒と白以外にもおこる。引越業者が使用しているダンボールが、以前は茶色(つまり紙そのものの色)をしていたのに、最近は白が多くなってきているのもこの現象が理由だ。一日に何百ものダンボールを運ぶ作業で、ダンボールが倍も重く感じていたら、それこそ、大変な苦痛となってしまう。前回、色と時間の関係をご紹介したが、例えばなかなか実際に時間が経過しない暖色の部屋で、より重く感じる暗い色をした荷物を扱う、こんな職場は、働く人にとってまさに最悪の環境だろう。


色と重さの感覚の実験結果

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