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#障害のある人生

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私の、障害者としての側面を描いた作品をまとめました。詩と短歌、小説があります。
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記事一覧

【短歌三首】車椅子の風景その5

「話すことができるだけでも幸せね」四肢麻痺の吾にアフリカメソッド 排泄も着替えも人に頼ら…

【短歌二首】自由とは

わたしだけの言葉を探し夜気を吸う 俵万智にはなれなくたって 電車に自力で乗れるドアは二か…

【詩】今日も私はえらかった

今日も私はえらかった 胸のコップに満ちた憎しみ色の水を、一滴もこぼさなかった 今日も私は…

【詩】青空

青空は、いつだって美しいから この世は残酷だ その下を歩く者たちすべてに 青空はいつだって…

【詩】分岐点

土曜日の帰り道 小学校の前の下り坂 車椅子を押している手が わざと離され やめて! 危ない!…

【詩】拍手

卒業生は、ひとりひとり名前を呼ばれ アイザワショウゴくん はい! エンドウアキラくん はい…

【詩】愉快な世界

ここは、とても愉快な世界です 障害を負わされた人のためのグループホームを作ろうとすれば 町内会から「入居者が視界に入るのも嫌」などと反対・拒絶され 断念せざるを得ない、そんな愉快な世界です (もしも嘘だと疑うなら、「横浜市金沢区 グループホーム」で検索してみてください、もっと愉快な気持ちになれますからね) たまたま障害を負わされなかった人たちが たまたま障害を負わされた人たちの住まいを作ることに 賛成だとか反対だとか表明してもいいと思い込んでしまう そんな愉快な世界です

【詩】恐れ

母の手に刻まれた皺が恐ろしくて 私はそれを直視できない 母が生きてきた証である皺よ 母が家…

【短歌八首】車椅子の風景その4

有人のレジで感じぬ障害を突き付けてくるセルフレジかな 自販機も顔認証の時代となチェアウォ…

【短歌五首】車椅子の風景その3

エレベーター何基あっても一基しか車椅子用ボタンで呼べない エレベーター何基あっても一基し…

【詩】善人

善人は、今日も善人なので 手に障害のある人間が 書類に住所氏名を書いただけで 「ちゃんと字…

【詩】身体論、あるいはヘレンの水

この足で 土を、地面を、大地を 踏みしめたことがない この足で アスファルトを蹴って 体が前…

【詩】匿名希望

雑踏に、埋没していたい 独りきりで気ままに歩ける道 そこでは 二足歩行者と 車椅子ユーザー…

【詩】花のベッドは、いらない

「強いね」と言った人は 強くなければ生きてこられなかったことを知らない 「強くならなきゃね」と言った人は 強くなければ生きていけないことのおかしさを疑わない プラグを引き抜くように感情を切ることを覚え いつか死ねることは恐怖ではなく救いだと悟り 希望の場にいてもなお続く孤独こそ絶望と知り 容易には生を終えられぬことこそ恐怖だと感じ その前も そのあいだも そのあとも 適応して 適応して 適応して とうとう、適応に使えるエネルギーは枯渇してしまった きっと 適応に使