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私に影響を与えてくれた存在①

 別名: 二十歳を目の前に追い込み型で振り返ろうシリーズ第1弾。先ずは私が高校時代お世話になった国語の先生そして3冊の本についてお話させてもらおうと思う。その先生は何故、国語という科目を学校で勉強しなければならないのかという疑問の答えを私に示してくれた方だ。それまでは「国語=現代文+古文+漢文」であって、受験勉強として必要なもの。ということは、センター試験で問われるような「傍線部について。これはどういうことか。」という問いに正しい答えを探るべく、短時間でポイントを掴み、正解をだす。古典についてはとにかく暗記。それ以外に何があるのか、と幼い考えしか抱いていなかった。そんな私の考えをその先生は変えたのであった。

 先生には私が高校2年生の頃からお世話になっている。(もちろん今はご指導を受けてはいないが、今も変わりなく慕っているので敢えて現在進行形にした)先生は授業の中で生徒の大多数が引っかかりそうな部分を「これはどういうことだと思う?」と問い、どのような答えも「そうね。確かにね、そういう考え方もあるわね。」と言い、決してどのような答えも否定しなかった。その先生の作る温かな雰囲気に安心し、みんな自分の頭に浮かぶ考えを先生に聞いてほしいとうずうずしていたのを私も授業中何度も感じとった。

 そんな贅沢な授業の中で一番私の中で印象深かった内容は島崎藤村の「初恋」である。

 この詩はお年頃の男女の可愛らしく甘酸っぱい関係を雅やかな表現で表している。先生の解説は日本語の豊かさ、美しさ、奥深さを教えてくださった。賛否両論あるかもしれないが私にとって国語はそういうものなのか、と。つまり国語とは日本語が創り出す多種多様な感じ方を教えるものなのではないか。と考えるようになった。そして過去に私が感じた国語の方程式は崩れ、私は「国語」が持つ魅力に益々惹かれていったのである。

 私の学校では「読書ノート」というものがあった。

これは実際読んだ本から好きな箇所を抜粋し、感想を書くといったものである。本は課題図書として先生から指定されることもあったが、私はその他にも自分の好きな本などを読んでページを埋めていった。そしてその読書ノートの始めのページを飾ったのはこの本であり、それを読んだ先生は、私が好きそうな本を紹介してくださったのであった。その続く本が私の進路の方向指示器として働いてくれたのであった。まず、私が自分で手にとって感想を書いたのはこの本である。

二宮敦人さん著の『最後の秘境 東京芸大 天才たちのカオスな日常』である。これは私にアートの面白さを垣間見せてくれた。アートに携わる者達の現実や自由、そしてその幅を知ることができたという点で影響を受けた。

 そして先生が貸してくださった本がこちら。(先述した例の方向指示器)

(もちろん読み終えたらその本はお返しして、この写真の物は後々もう一度読みたい為に私が自分で購入した者である。)

 この本は木村泰司さんによる『名画は嘘をつく」である。この本は今まで「観る」だけの物であった西洋画に「解る」という味わう部分を教えてくれた。歴史的背景を踏まえ、なぜその作者はこのような作品を書くに至ったのかなどを大変分かりやすく説明してくれている。この本によって、私は西洋美術をもっと読み解きたいと感じるように至った。そこから当時、大学で何をしたいのかを考えるようになった高校生の私は、「美術史」を学びたいと思ったのである。

続く

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