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無辜のクソガキ

この中に裏切り者がいるの!
性根の悪いあの女が嬉しそうに叫んだ
うちのクラスは常に女子で固まっていないと気が済まなく、恋愛話と人の悪口を言わなければ一致団結が出来ないような人間ばかりだった
そんなグループに媚びへつらう私も同レベル、それよりも下なんだろう。分かりきっているのに。
そして今のターゲットは私だった
ボブのセンター分けのあの女
あいつがクラスの女子の総意で、決定権を握っている
そんな女が裏切り者がいると嬉々として語る
周りが食いつかない訳が無い

誰誰誰誰誰誰
あいつかなあいつかなあいつかな
教えて教えて教えて教えて教えて
言わないから言わないから言わないから言わないから
教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて

クラスの端っこで円になってあいつを問いただす
ぎらぎらと輝く幼くて薄汚れた瞳で

目星はついてるの

きゃぁと声が上がる
私は円の外で自分でも分かりきってる下手くそな愛想笑いをしながら聞いてるふりをして舌を噛む

惨めだ

話の内容も脈絡もなんならクラスの友人関係だって何も分からない
逃げてばかりだから
人の好意も優しさからもぜんぶぜんぶ逃げ出して
弱い、弱い自分が憎い
こんな奴らに負けてたまるかと思っても行動しない。口に出さない。
負け犬だ
インターネットに逃げて、文にするしか能がない
しかもたどたどしく見るのも時間の無駄のものばかり

裏切り者はね

きっと私だろう
なんだか声が遠い感じがする
上の人間と上手く接することが出来ない
人と腹を割って話すことが出来ない
そんな人間がこの場に居ていいのか
あいつらが嫌いだ憎たらしい消えて欲しい
違う。
消えればいいのは私だ
分かりきっているだろうに
また、知らないふりをするのか逃げ出すのか
お前はいつもそうなんだろう

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