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対人援助の基礎@振り返り

11月23日ー市民後見人等養成講座がありました。昼から1コマしか参加できませんでしたが、そこで学んだ事を復習がてらまとめたいと思います。


対人援助の基本とは?

判断の構造

人の判断や意思決定には「前の事情」(収入や生活歴、価値観など)と「後の事情」(その判断が引き起こす結果)を考慮する必要があります。支援者は、利用者がどのような状況や価値観の中で生きてきたかを理解し、偏見を持たずに対応することが大切です。

支援における価値観の尊重

支援者が「正しい」と信じていることが、利用者にとっても正しいとは限りません。例えば、タバコに月1万5千円使うことを「無駄」と考えるかもしれませんが、利用者にとってそれが何よりの幸せなら、その価値観を尊重する。

  • 価値観を尊重する

    1. 人はさまざまな価値観や考えを持っている

      • 「何を大事にしてきたか」「何を誇りに持ってきたひとなのか」を理解することが重要です。

    2. 相手の考えや気持ちをいったん受け止める【受容】

      • 人は、自分の考えや気持ちを頭ごなしに否定されたり、非難されないとわかったとき初めて心を開きます。

      • 自分の思ったことを伝えられるという関係を作るためにも受容が大事です。

支援者は相手の考えを否定せず、まずはそのまま受け入れる【受容】することが重要です。このように受け入れることで、初めて相手は心を開き、自らの考えを共有しやすくなります。

バイスティックの7つの原則

対人援助には「バイスティックの7つの原則」があります。これらの原則は、支援が必要な人々が持つ基本的な人間的欲求に応えるためのものです。

  1. 個別化: その人を他の誰とも一緒にしない。

  2. 感情の表現: 否定的でも肯定的でも感情を自由に表現できる環境を提供する。マイナスの感情をさらけ出せない人は困りごとを抱えてしまう。

  3. 共感的理解: 表現した感情に支援者は感情に共感的な理解をし、その思いに反応する。

  4. 尊厳の受容: 利用者を価値ある人として尊重する。

  5. 非審判的態度: 善悪の価値判断をしない。非審判的態度。

  6. 自己決定の尊重: 利用者が自分自身で選択し、決定する権利を尊重する。

  7. プライバシーの尊重: 利用者の秘密を守る。

このような人間的欲求がある!という事を知っておくこと。

対人援助としての意識的準備

対人援助としての意識が無い人

  • 素のまま相談を受けている: その場しのぎで対応してしまい、利用者の真意を理解することが難しい。

  • 意図的な対応ができない

    • 想定外のハードルが高い問題に直面すると驚いてしまい、適切な対応ができない。

  • 心の準備ができていない: 予期せぬ状況に備えて心構えができておらず、冷静に対応できないことが多い。

  • 感情の整理ができていない: 感情的になりやすく、支援に必要な冷静さを欠いてしまう。

  • 雰囲気や感情に飲み込まれてしまう: 利用者の感情やその場の雰囲気に影響されすぎてしまう。

  • 細かい事に気づかれない

    • 利用者の言葉と表情の違いに気づけない。

      • 例: 世間通念上「嬉しい話」をしているときに表情が曇っている場合、それが相談したい内容のサインかもしれない。

対人援助としての意識がある

  • 意図的な反応ができる: 状況に応じた適切な反応が取れる。

  • 心の準備ができている: 様々な問題に直面する可能性に備え、心の準備を整えている。

  • 感情の整理ができている: 支援の場では、自分の感情を整理し、冷静に対応できる。

  • あわてずに相談対応ができる

    • どの専門家やサービスに繋げば解決できるかを理解し、適切に判断できる。

  • プライベートや個人的事情とは別に、気持ちを切り替えて話を聞ける

    • 自分の価値観を押し付けずに話を聞く。

    • 個人的な事情を切り離して支援に集中する。

    • バイスティックの七原則を守る姿勢を持つ。

  • ここぞというときに会話に入れる

    • 相手の話を遮らず、適切なタイミングで必要なことを伝える。

  • 間延びせず、引き締まった相談ができる: 相談が間延びしないよう、要点を押さえながら進める。

  • 落ち着いて、冷静に対処: 状況に動揺せず、常に冷静な態度で対応する。

  • 細かいことに気付くことができる: 言葉だけでなく、相手の表情や仕草などの微細な変化にも気づき、それを支援に活かすことができる。


援助者としての価値観

  • 価値観を押し付けない: 支援者は自分自身の価値観を相手に押し付けてはいけません。利用者の個別の状況やニーズを理解し、柔軟に対応する姿勢が求められます。

  • 倫理観を守る: 支援者としての倫理的な基準を守ることは非常に重要です。これにより信頼関係が構築されます。

  • 情緒的客観性を保つ: 支援者は、感情に流されずに冷静な態度を保つことが求められます。特に情緒的な問題に直面した場合には、情緒的な視点からの客観性を持つことが必要です。

援助者としての倫理

  • 利用者との関係を公私区別する: 利用者との間で私的な関係を持たないように注意しなければなりません。特に、個人的、宗教的、政治的な理由や利益のために利用者を利用してはいけません。

  • 利益を優先しない: 利用者の利益を最優先に考えることが重要です。例えば、利用者の買い物でお金は利用者が払うが、自分のポイントカードを使うことなどでも倫理的に不適切な行為は避けなければなりません。

    • 被後見人の利益を最優先に考えるならば、被後見人のポイントカードを使用するなど、相手の利益を守る行動が必要です。

  • 説明責任: 必要な情報を適切な方法で提供し、相談者がその内容を理解できるように説明する責任があります。わかりやすい表現を用いることが重要です。

  • 被後見人の自己決定を尊重する: 支援者は、利用者が自分で選択し、決定することを尊重しなければなりません。

  • プライバシーの尊重: 利用者のプライバシーを守り、秘密を厳守することが必要です。

価値判断の違いに対する理解

  • 例: 美容室選び: 人それぞれニーズや価値観が異なり、同じ美容室を選ぶ理由も多様です。このように、支援においても利用者の価値判断を尊重し、その違いを受け入れる姿勢が重要です。

信頼関係の構築

支援を成功させるためには、信頼関係を築くことが重要です。初めて出会う人との間に信頼を築くには、相手の話をしっかり聴き、その言葉の背後にある感情を理解しようとすることが必要です。

コミュニケーション技術

言語的コミュニケーション

  1. 易しい言葉

    • 幼稚な言葉ではなく、相手が理解しやすいシンプルな言葉を使うことが大切です。

  2. 難しい言葉は言い換える

    • 略称ではなく正式名称を使用し、自分の「当たり前」だと思っている略語は避ける。

    • 難しい用語を使う場合には、必要に応じて説明を加える。

  3. ゆっくり話す

    • ゆっくりと丁寧に話すことが重要で、だらだら話すのとは異なる。

  4. 言葉を区切って話す

    • 流暢すぎる話は頭に入りづらいことがある。適切に区切りながら話すことで理解が深まる。

    • 話が上手に聞こえても、中身が伝わらない場合があるため、区切りを意識する。

  5. 高齢者には高音域が聞こえづらい

    • 高齢者に話す際には、声のトーンに配慮し、聞き取りやすいように調整する。

  6. 温かみのある声音

    • 声のトーンを柔らかくし、相手に寄り添う気持ちを伝える。

言葉を使わないコミュニケーション

  • 表情、目線、視線、動作、姿勢、装い、距離など、言葉を使わない部分の非言語コミュニケーションが重要です。

  • 聞き直しができるような安心感を与える雰囲気を作ることが求められます。

  • 言葉で表現される内容と、言葉以外の部分で表現されていることが一致しているとは限りません。特に、大事な話をする際には雰囲気が重要ですが、あまりに厳格すぎると相手が萎縮してしまうこともあるため、適度な柔軟さを持つことが大切です。

エンパワメントとストレングス

エンパワメントとは、本人の力を引き出し、それを発揮できるよう支援することです。全てを支援者がやってしまうのではなく、利用者自身ができることは自分で行うことで、自己決定感や自己実現の支援につながります。

また、ストレングスの視点に立ち、利用者の長所や強さを見つけ、それを活用することが重要です。

包括的な理解と他職種連携

利用者を理解する際には、身体的、心理的、社会的な側面など、包括的に見る必要があります。また、支援者一人で問題を抱え込まず、多職種の連携を通じて利用者を支援することが大切です。

PDCAで考える対人援助のプロセス

PDCA(計画・実行・確認・改善)のサイクルを用いて、利用者のニーズを明らかにし、適切な支援計画を立て、実施し、定期的に見直すことが必要です。このプロセスを通じて、利用者の自己実現を支援します。

  1. 本人(被後見人)の理解

  2. アセスメント(見立て)

    • 本人の課題、ニーズ、ストレングスを明らかにする。

    • 課題やニーズを引き起こす要因を調査する。

  3. 支援の計画

  4. 支援の実施

  5. モニタリング

  6. 再アセスメント

これらの3〜6のプロセスを繰り返すことで、PDCAサイクルが成立し、支援が適切に行われ続けます。

人を包括的に見るための4側面

利用者を包括的に理解するためには、以下の4つの側面から見ることが重要です。

  • 身体的側面

    • 現在の病気、既往歴(過去の病気)、障がい、身体的な活動能力、コミュニケーションに関わる感覚器官の状態(目、耳、鼻、口)を把握します。特に、認知症と難聴の関係は強いため、耳の状態には注意が必要です。

  • 心理的側面

    • 性格、気分、感情、精神症状などを把握し、利用者がどのような心理状態にあるか理解することが求められます。

  • 社会的側面(日中活動、生計維持活動等)

    • 日中の活動、過去の活動、生計維持のための活動を理解することで、利用者が社会的にどのような役割を果たしてきたかが見えてきます。

  • 社会的側面(家族・友人関係・余暇活動等)

    • 家族関係、親族関係、友人・知人関係、余暇の過ごし方、趣味活動などを理解することが重要です。例えば、利用者が「気難しい」と感じられる場合、その背景には家族関係の問題や孤立感、過去の体験などが影響していることが多いです。そのため、なぜその人がそのような態度を取るのか、どのような経験や環境がそれを形成したのかを深く考え、その人の価値観や背景を尊重する姿勢が必要です。

他職種・他機関との連携(P283)

1. 一人で抱え込まない

多くは一人後見になるが、代理人だと思って一人で抱え込んでしまうと物事を見誤ってしまうことがあります。後見人は自分が担当ですが、「みんなで考えましょう」という関わりが重要です。チームとしての視点を持つことで、より包括的で質の高い支援が可能となります。

2. 代弁・調整・交渉

本人がどのような生活を望んでいるかをもとに、本人の能力を最大限に活用し、尊厳が保たれているかを確認し、代弁します。また、周囲からの支援が本人のニーズに合致するように調整し、必要に応じて交渉を行うことが求められます。

人は多面体

本人を様々な立ち位置(分野)から見て、本当の本人像を見出す努力が必要です。支援者は「自分が関わっている時だけがその人の全てだ」と思わないことが大切です。色んな人が本人を見て、立体的に理解し、支援する姿勢を持ちましょう。

きょうどう

  1. 共同: 同じ立場が同じことを一緒に行う(例:赤い羽根募金)

  2. 協同: 同じ目標を持つ個人や団体が力を合わせて協力し、連携して行動を共にすること。

  3. 協働: 違う立場や異なる活動を行っている個人や団体が、同じ目的に向かって仕事や事業を行うこと(他職種連携)。

目指しているのは「協働」です。まずは目標を揃え、それに向かって関連する人々と共にできることを考えて進めることが重要です。

まとめ

信頼関係は相手の言う事を非難せず一度受け取る事だ。というのはとても納得がいくものでした。
その内容が周囲や自分に不利益をもたらしたり、そのことで本人にもいい影響がないと考えられるものは、そのことが、良くないよね、どうしていけばいいかな。と言えるような関係を作ってから進めていかなければいけないんでしょうね。
対人援助の基礎、このように体系的に学んだことが無かったのでとても参考になりました。
特に対人援助としての意識的準備という部分は、援助に関わる職では意識して置くべきことだと感じます。
来年度もまたこの研修会は行われるとのことでしたので、受けられなかったコマはまた勉強したいと思います。
NOTEにも学んだ内容を少しずつのせていきたいです。

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