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沖縄県視察@糸満市:市民提案型まちづくり事業補助金について

こんにちは
1月21日から23日にかけて沖縄県へ視察に行かせていただきました。
折角報告書を作っているのでこちらにも公開したいと思います。

・行政視察先1:糸満市

糸満市の概要

人口:約6万2000人(増加傾向。ただし近年は停滞も見られる)

沖縄県内11市8番目の人口規模。沿岸部と内陸部を有し、都市と農村の両方の特徴を併せ持つ。沿岸部は埋め立てによる都市化、内陸部は大規模開発が制限されている。

主な産業は漁業、農業はマンゴー、パッションフルーツ、ニンジンなど。観光としては平和記念公園や地下壕があり、修学旅行生や観光客が訪れる

市民提案型まちづくり事業補助金について

担当:市民生活環境課より説明

事前質問への回答

1.     財源について

本事業の財源は、平成21年度以降に計上されている一般財源や、地域貢献を目的としたふるさと応援基金により確保されている。また、令和7年度以降はふるさと納税の活用や他の財源の検討も進められている。補助金額については、通常年間約100万円が充てられているが、50周年記念事業では特別に500万円まで増額した実績がある。

事業運営を担う市民活動支援センター「まちテラス」には、別途700万~800万円の予算が計上されており、4名体制で運営されている。このうち正職員は代表1名、他の3名はパート職員として雇用され、人件費に充てられる。


2. 市民と「まちテラス」との関係

まちテラスは、市民活動支援センターとして市から委託を受け、地域社会と行政をつなぐ橋渡し役を担う。目的は「市民力の強化」であり、市民の自発的な活動や地域課題の解決を支援する仕組みを構築する。市民活動団体と行政のつながりを強め、協働によるまちづくりを推進する中間支援機関としての役割を果たしている。

3. 市民提案の傾向

市民からの提案は多様で、地域課題の解決を目的とした実践的な内容が多い。

仕組みとして提案は、新規の取り組みを模索する「スタートアップ型」と、既存の事業を発展させる「ステップアップ型」に分類される。これらの提案を通じて、地域社会の活性化や市民活動の幅を広げる効果が期待されている。

4. 事業の効果

地域コミュニティの活性化が図られ、市民同士の連帯感が強化されている。

人と人とのつながりが深まることで、地域経済にも一定の効果が期待される。これらの取り組みは、地域住民の主体性を高め、持続可能な地域社会の実現に貢献している。

質疑

1. 地域活性化と行政の課題

  • 行政と市民の接点が少ない中、センターを通じて市民提案を実現させる仕組みが評価されている。

  • センターの役割として、通常では繋がらない市民同士や行政との橋渡しを行い、子どもを含む地域課題の解決を図っている。

2. イベント運営と審査体制

  • イベント情報連絡会議や審査のメンバーは、センターが任命権を持ち、現場で活動している人に直接声をかけて選出している。

  • 偏りを防ぐため、行政メンバーは1名に限定されている。

  • イベントの調整機能については、開催日程が近いイベントを統合し、規模を拡大することで集客力を向上させる取り組みが行われている。

3. 補助金と継続性のある支援

  • 補助金はイベント1回で終わるものではなく、継続可能な団体への支援を重視している。

  • 同じ団体が補助金を受けられるのは2回までと制限し、ステップアップを促進する仕組みを整備している。

  • 継続性については、NPO法人や一般社団法人が比較的事業を続ける傾向が強い一方で、民間的な市民団体ではボランティア形式の活動が望まれる場合も多い。

4. 市民の声の収集と公平性

  • 市民の意見は意見回収やレビューを通じて反映されており、プロポーザル方式も採用されている。

  • 委託事業所が1か所だけであるため、小さな声を拾いきれないという課題がある。

  • 糸満市内には5つの支部があり、それぞれに役割を持たせたい意向はあるものの、現在は予算などの制約から1か所に限定されている。

5. 若年層の活性化

  • 中高生などの若年層を対象とした地域活性化施策に力を入れている。

所感

糸満市の市民提案型まちづくり事業補助金と「まちテラス」の取り組みは、「みんなの力を集めて地域を良くしていこう」という考えをもとに進められている。この仕組みでは、市民一人ひとりのアイデアや行動を応援し、地域の課題をみんなで解決することを目指している。

「まちテラス」は、市民と行政をつなぐ役割をしていて、イベントの運営委員などを選ぶ権限を持ちながら、地域の人たちと直接話をし、つながりを広げている。このような活動によって、地域の現場で起きていることを行政がもっとよく理解できるようになっている。

また、イベントをまとめたり、開催時期を調整したりすることで、地域の人たちがもっと集まりやすくなる工夫もされている。さらに、中学生や高校生を対象にした地域活性化の取り組みもあり、若い世代が地域づくりに参加できる場が増えているのも素晴らしい。

糸満市のこのような取り組みは、行政と市民が一緒になって地域を良くする理想的な形だと感じた。「みんなの力を強くする」という考えを大切にしながら、行政と地域の人たちの間に立って活動する姿勢は、とても参考になる。この経験をもとに、自分たちの地域でも、課題を解決したり住みやすい街をつくったりするための取り組みを進めていきたいと思う。

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