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体の距離、心の距離

恋人と体を重ねるまで三ヶ月以上かかった。
それまでに4回のお泊りデートがあったにも関わらず、10回目のデートの時やっと辿り着いた。

なぜ?恋人に聞いた。
「体目当てと思われたくないから。あとはななちゃんの本当の気持ちを確かめてからしたい。」

女性は体の関係を持った相手を好きになりやすいとの説があるらしい。
体の関係を持つと、脳は体の距離を心の距離と認識してしまう、独占欲が芽生えてきて、自分が求められたように感じる。
体の関係がきっかけで「好き」という感情が出た場合、人間の動物的本能による心理的錯覚のケースが多いと言われてる。

恋人は私をこういうケースに落ちて欲しくなくて、あえて時間を取った。でもこういうことを知らない私は、自分のこと女として見られてないか?もしくは恋人は病気ではないか?まで疑った。

2回目のデートは恋人の町に。
行くと決めた時、恋人は隠れきれない喜んでで、「お昼から休み取りますね。明日は何時ぐらいに来る?」
私は相変わらずありのままの自分を丸出しで「何時になるかなあ?何時に起きれるかな?」
休みの日はなんのプレシャーもなく、自然に目覚めて起きるのが好きだ。
恋人:お泊りする?
私:泊ってもいいかも、日曜なんもないし。
恋人:じゃ着替えとか用意しといてね。
私:うん、調べてみる。
恋人:うちに泊まる?
私:いいの?
恋人:いいよ。
私:じゃお言葉に甘えてお邪魔させてもらいますね。

適当な気持ちで適当に恋人の家にお泊りすることになった。
家で基本キャミソールみたいな肌の露出が多い服装で過ごす習慣だけど、
肌をしっかりカバーできるパジャマを用意した。

しっかり寝てゆっくり起きて、ちゃんと朝ご飯食べて、バックパッカーのような格好で恋人を会いに行った。
あと一駅で着くとこに、恋人への手土産を家の机に置いたままだ!気づいた。学校行って鉛筆忘れたりしてと同じだ!
恋人にメールしたら、「大丈夫、気持ちだけでうれしいよ。それも可愛いらしいということで。」

着いた時、恋人はすでに待っていてくれた。
初日は水族館デートした。地元の名産物食べた。
夜は家でしゃぶしゃぶ。
先にお風呂を入らせてもらった。
お風呂から出て、恋人はキッチンのところに野菜を切っていた。
手が止まった、微笑んでパジャマ姿の私を見て「お水かお茶飲む?」
男の前でパジャマ姿やっぱり慣れてなくて、ちょっと恥ずかしかった。
顔を下に向いて「うん」と頷いた。
食卓にコンロやしゃぶしゃぶ専用の鍋、お箸も箸置きにちゃんと並べてあって、恋人一人で全部用意した。

お水飲んで、「私もなんか手伝う」と恋人に言った。
「じゃサラダ用のキュウリと人参を切る?」

緊張してるか、包丁で薄きりしたことないかのせいか、包丁慣れてないように初心者のように見えたかも。
「厚すぎたよね。いつも専用の道具を使ってるから、包丁で切ったことないかも。」
恋人はにっこりで私が切ったキュウリと人参を再加工した。

私はお酒ほとんど飲まない人。食事に合わせ、ワインならグラスの3分の1くらいは飲む。それ以上は飲まない。それだけでほろ酔いになっちゃう。
恋人はお酒を楽しむ人。
恋人だけお酒を飲んだ。私の顔を見て、「幼い」3回言った。
「髪をくくってみて」。

髪をくくった。
「やっぱり幼い」はい、4回!
微笑んで言った。

幼いってどいうこと?女に見えないってこと?胸はC~Dあるよ。
心の中で独り言。

手土産以外にも、忘れ物があった!歯ブラシ。
ご飯食べて、近くのコンビニへ歯ブラシを買いに。
横に並んで歩いてた。
田舎の静かな夜。
月が綺麗。
恋人は私の手を繋いだ。しかも恋人繋ぎ。
ドキドキなかったかも。なんだか新鮮な感覚だった。

その夜、恋人のベットで寝た。
恋人はリビングのソファで寝た。
何も起きてなかった。
翌日、隣県の有名な大きい美術館に連れて行ってもらった。
海にも行って、港町の海の幸も堪能した。
夜まで一緒にいたけど、その日に手は繋いてなかった。何もなかった。

2日後の会話で、
恋人:いつでも来て。ななさんの事がどんどん気になってる。
私:結構話したよ。
恋人:うん、だからますます気になってる
私:幼いって4回も言われたけど…
恋人:そういうとこも含めて気になってるんです。emoji
私:うーん、どうかな?子ども扱いされたくないよ
恋人:見た目が若いって事…考えてる事はずーと大人!
私:若いと幼いはニュアンスが違う気がする。
恋人:十分大人の女性だよ。ななちゃんにすごい好意をもってるよ
私:好意の意味明日調べてみる。

好意の意味わかってるよ。誤魔化した。
恋人はそっとしてくれた。

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