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ワルシャワ蜂起 上・下(2012年 白水社)

著者ノーマン・デイビスは英国の歴史学者である。
本書は、 1944年のワルシャワ蜂起を取り上げた力作といえよう。
描かれている内容は、その時代背景、蜂起への過程、実際の戦闘、ソ連軍やドイツ軍の動向、3大国の駆け引き、英米軍の支援とソ連の妨害、蜂起側の降伏、ドイツ収容所生活とソ連軍による逮捕抑留、人民政府成立以降のタブー視された蜂起の事実、連帯運動と民主義的政府の成立・・・。

 ドイツとロシアと言う強国に挟まれたポーランドは絶えずその支配への抵抗、独立への希求の戦いを続けてきた歴史を持つ。

以下に、私の関心を引き起こさせた事項を列記してみる。

・ 第2次大戦の契機となったポーランド侵略とロンドンの亡命政府。
・ 同盟国としての位置づけを忘れないチャーチル。支配圏の拡大を目指す
 スターリンの冷酷な戦略。ソ連に気兼ねするルーズベルト。
・ 国内蜂起軍と提携しようとせず、戦後は彼らを逮捕・収容所送りする
 ソ連。協力する傀儡のポーランド人民政府。
・ 第二次大戦後、どの国に解放されたかがその後の運命を左右した
 厳然とした事実。

・ 祖国にとどまれずに各国に散って行ったポーランド人。
 政権に協力する元兵士もいた。
・ ソ連の一方的裁判で銃殺されていく多くの将校→“カチンの森虐殺事件”
・ 将校の多くが地主・貴族階級として、国民の階級的憎悪の対象に利用
 せんとするソ連と、祖国の自主独立を願う多くのポーランド国民。
・ 映画「戦場のピアニスト」が実話であったことが語られている。
・ 若い時に見た映画「灰とダイヤモンド」がようやく理解できた。


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