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渋沢栄一万札でのご祝儀はご法度?!
今年7月、20年ぶりに紙幣が一新され1万円札の肖像が福澤諭吉から渋沢栄一に代わりました。「近代日本経済の父」とも称される埼玉県深谷市出身の渋沢栄一は、江戸時代末期に農民から武士に登用され徳川慶喜に仕えるようになります。そしてパリの万国博覧会など欧州諸国を訪問したことで日本も近代化が必要と感じ日本初の株式組織「商法会所」を設立します。その後、明治政府に招かれ大蔵省の官僚として新しい国作りに深く関与しました。そして、退官後は実業界に身を投じ、第一国立銀行、東京商法会議所、東京証券取引所などを立ち上げたほか、公共事業や教育機関、研究機関などの設立にも尽力し、関わった企業は生涯で約500、学校や公共事業は約600にも上るといわれています。
そんな実績から1万円札の顔となったわけですが、なんと「新1万円札での結婚式のご祝儀はマナー違反じゃないか」と物議を醸しているそうなのです。その理由が彼が数々の偉業をもつ一方で愛人を妻と同居させるなど女性関係に難があり、新しい生活をスタートする若い2人にはふさわしくないからというのですから呆れます。
渋沢栄一の生きた時代は富と名声のある男性には妾の一人や二人は当たり前でした。それを「不倫は絶対にダメ」の時代になったからといって悪者扱いするのはいかがなものでしょう。そんなことをしていたら紙幣の肖像には生身の人間は選ばれず、ドラえもんやウルトラマンなどの架空のヒーローしかなり手がいなくなります。訳知り顔の“マナー講師”の中には「結婚のご祝儀には福澤諭吉版のお札が無難です」なんて言う者まで現れていますが、それなら肖像交代の前に声をあげるべきで、発行されたあとにいくらもっともらしく語っても説得力はありません。
そもそも今は新旧お札の過渡期ですからまだ福澤諭吉も容易に手に入りますが、あと1年、2年もしたら渋沢版しかなくなります。そのときはどうするのでしょう。まさか「結婚のご祝儀にはPayPayが無難です」なんて言うのでしょうか。結婚のご祝儀に関しては「偶数は割り切れるからNG」とも言われます。しかし、もらう方としては福澤諭吉の3万円より渋沢栄一の4万円のほうがうれしいだろうとわたしは素直に思います。
そんな結婚ですが、現代ではなんと3組に1組の夫婦が離婚しているそうです。たくさんの人に祝福されながら嫌になったらさっさと離婚する。もちろんもらったご祝儀を返すことはありません。ご祝儀を出してばかりの身としては、そのほうがよほどマナー違反ではと思ってしまいます。