神坂泰行

随分昔の若い頃に少し詩を書きましたが、永らく詩の世界から遠ざかっていました。人生の総括に当り昔の詩を整理するにつけ、散文化傾向が一層進む現代詩の世界で「音楽性豊かな自由詩」の復権を強く願うようになりました。若い詩人の皆さんに「定型」でも「散文」でもない「自由韻文詩」を提案します。

神坂泰行

随分昔の若い頃に少し詩を書きましたが、永らく詩の世界から遠ざかっていました。人生の総括に当り昔の詩を整理するにつけ、散文化傾向が一層進む現代詩の世界で「音楽性豊かな自由詩」の復権を強く願うようになりました。若い詩人の皆さんに「定型」でも「散文」でもない「自由韻文詩」を提案します。

最近の記事

散文がことばの「語り」であるなら、詩はことばの「弾き語り」でありたいものです。

きょうも小鳥のように囀れているだろうか...   白い光 愛する人よ あなたは白い光です 流転の 輪廻の 混沌の世界の つかの間の歓び つかの間の幸せ つかの間の安らぎ ・・・ 果てしない悲しみ 果てしない苦しみ 果てしない絶望 ・・・ 愛おしくも 忌まわしい 忌まわしくも 愛おしい この世の混沌 永劫流転の現象世界の 輪廻の岸辺に再び舞い降り ただ美しく白く輝く あなたは  やさしい光の生命体 愛する人よ あなたは白い光です あなたは白い光なのです

    • また詩を書き始めました。

      皆様お久しぶりです。半世紀ぶりに詩作を再開し始めました。 若い頃とは全く詩想もリズムもメロディーも異なるものですが、本当に久々に詩作してみて、私自身の「詩の音楽性」についてのこだわりが変わる事はありませんでした。 「自由韻文詩の世界」に記したように、「詩の音楽性」とは「五種類の基本拍の並べ方によるリズム創成」X「各種押韻連鎖によるメロディー彩色」が基本ですが、私自身の若い頃の様なリズムのアップテンポ、激しいパッションは全く影をひそめてしまっているものの、現在の年齢なりの「詩の

      • 「萩原朔太郎大全2022」全国で開催中

        https://www.maebashibungakukan.jp/taizen 私も本日の新聞記事で初めて知りましたが、朔太郎の没後80周年を記念して、10月1日から来年1月10日を中心期間として全国52か所の文学館や美術館、大学などで一斉に朔太郎の企画展が開催されているとの事です。朔太郎の孫である萩原朔美氏が館長を務める前橋文学館から、朔太郎関連の所蔵品が全国各所に貸し出されて現物展示も行われるとのこと。全国の文学館などが同じ作者を取り上げてほぼ同時期にそれぞれ独自展示

        • 現代詩と音楽性

          「現代詩」「音楽性」とググってみると、このnoteの私の記事が真っ先に出て、何番目かに高畑耕治さんの「歌を忘れた現代詩は、詩歌といえるか?」の記事が出てきますが、あとは「現代詩の音楽性」について、或いは「現代詩の音楽性の欠如」について真ともに、真面目に書いた文章がほとんど出てこないところに「現代詩の病状」が端的に現れているように思います。高畑耕治さん指摘の「歌を忘れた現代詩」の、「末期症状」とも言うべき現状に驚くばかりです。 9月に文芸社から上梓しました「自由韻文詩の世界-

          【自由韻文詩の世界】を9月に出版しました。

          noteの記事をまとめ校正し直した内容を、【自由韻文詩の世界-現代自由詩の再興-】のタイトルで文芸社より9月初旬に自費出版しました。noteでフォローして頂いている皆様にはご希望があれば献呈(無料プレゼント)させて頂きます。ご希望のフォロワーの方はクリエーターページ下段にある【クリエーターへのお問い合わせ】から「献呈本希望」とご記入頂き、氏名・送付先(受け取りが出来れば現住所でなくても結構です)をご連絡頂ければ、郵便局スマートレター便(元払い)にて送付させて頂きます。献呈本枠

          【自由韻文詩の世界】を9月に出版しました。

          日本詩の芸術性と音楽性(10)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)      日本詩の芸術性と音楽性(10)最終回  【現代口語自由韻文詩の実例】長詩一編   「悔恨」 陰惨な時の茨の眠りにつく夜 私の魂は地上を飛び立ち 果てしない天空へと憧れて羽搏く 自然を舞い立ち 暗黒を超え 哀しい銀河にその羽音を響かせて 私は飛翔ぶ 私は飛翔ぶ ・・・ ・・・ 私は彼方に光を見つけた 私は彼方に

          日本詩の芸術性と音楽性(10)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(9)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)         日本詩の芸術性と音楽性(9) 【現代口語自由韻文詩の実例】中詩二編   「都会」 ー朔太郎「帽子の下に顔がある」ー 風にあなたの黒髪が吹かれて さらさらさらと流れる都会の夕暮れ時 そろそろ街は水銀灯に 怪しく青く輝き始めて 空には白い月がくすんでいます もう早や ほうら  あっちの巨大なビルから こっち

          日本詩の芸術性と音楽性(9)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(8)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)         日本詩の芸術性と音楽性(8) 【あとがきに代えて】 ご参考までに拙作から短詩四編・中詩二編・長詩一編をご紹介します。 朔太郎の無上の詩編の後に拙作を載せる事には忸怩たる思いがありますが、本稿内容への文責上から、より現代詩に近い年代の自由韻文詩例として敢えて掲載する事にしました。 短詩一編は「押韻のみ」、三

          日本詩の芸術性と音楽性(8)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(7)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)         日本詩の芸術性と音楽性(7) 我が国一千数百年の誇るべき日本詩歌の宝庫である短歌を始め、俳句・近代詩を含めた伝統的日本詩から日本詩創作の本質を学んで現代日本語の中にも無数に内在するリズムとメロディーを紡ぎ出し磨き上げ、詩人独自の詩情を音楽性と芸術性豊かに高らかに創作する事こそ、現代日本に生まれ合わせた詩人の歴

          日本詩の芸術性と音楽性(7)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(6)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)         日本詩の芸術性と音楽性(6)  【現代詩について】日本古来の発声のみの和語の世界に表記文字としての漢語が伝来した古代以来、ひら仮名が生まれカタカナが派生した中世を経て、西洋言語を貪欲に吸収し続ける現代に至るまで、時代の変遷による語彙・発声の変化こそあれ日本語に脈打つ言の葉の精髄が古代から伝承され続けていること

          日本詩の芸術性と音楽性(6)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(5)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)         日本詩の芸術性と音楽性(5) 次に近代自由詩に目を向け、その中でも日本語表記文字の特性と音楽性を少数文字に凝縮した「一行詩」に焦点を当ててみる事にしましょう。 【日本詩の視覚効果】  てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った 近代詩人である安西冬衛の有名な一行詩「春」ですが、「てふてふ」と「韃靼海峡」の音質

          日本詩の芸術性と音楽性(5)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(4)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)         日本詩の芸術性と音楽性(4) もう一つ、今度は皆さんもよくご存知の近代短歌を例に挙げましょう。  東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる 言わずと知れた石川啄木の代表歌の一つですが、一読して誰もがリズミカルで音楽性に富む歌だと感じますね。 さてその秘密はどこにあるのでしょうか。 先程と同じく、意

          日本詩の芸術性と音楽性(4)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(3)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)         日本詩の芸術性と音楽性(3)  心なき身にもあはれは知られけり    しぎ立つ沢の秋の夕暮れ 言うまでもなく西行の代表作ですが、本歌は新古今和歌集の白眉であるだけでなく日本詩歌の最高傑作の一つとも言えるでしょう。 この短い三十一拍に日本語のリズムとメロディーの音楽的技法が存分に駆使されていますが、シンボルと

          日本詩の芸術性と音楽性(3)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(2)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)          日本詩の芸術性と音楽性(2)【日本詩歌の音楽性の仕組み】俳句の五七五拍や短歌の五七五七七拍ほかの日本詩歌の定型音律(拍子)は、万葉時代以降に定まった「詩歌の枠組み、約束事」に過ぎません。(では何故その約束事がそう決まったのかについては様々な研究があるのでそちらに譲る事として、)時代時代の日本語の中にある詩歌の

          日本詩の芸術性と音楽性(2)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          日本詩の芸術性と音楽性(1)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-

          定型詩でも散文詩でもない「自由な音楽性を持つ詩」を「自由韻文詩」と呼んでその構造(つまり創作法)を一つのシンプルな基本式として提案します。(全10回)       日本詩の芸術性と音楽性(1) 【序に代えて】                              詩は言葉の音楽であり、絵画であり映像であり思想でもあります。但し、音楽や歌は聴覚で、絵画や彫刻は視覚や触覚で創作者の感情、祈りや思想という表現物を五感に直接訴え掛ける事が出来ますが(そしてそれがつまり芸術と呼ばれ

          日本詩の芸術性と音楽性(1)-若い詩人の皆さんへ「自由韻文詩のすすめ」-