デアクラシカー考察
今回はブンデスリーガ第12節ボルシア・ドルトムントvバイエルン・ミュンヘン、伝統のデアクラシカーについて書いていこうと思います。
1.プラス1を作る/使う。
ドルトムント保持時、バイエルンは1人が相手選手1人を捕まえるマンツーマンのアプローチを採用していた。そのため、ドルトムントの両SBはCBに広大なスペースを提供すべく、WGであるかのように立ち位置を取り、バイエルンのWGを固定した。
これを受けて、ドルトムントの前進の狙いとしては、
GKコーベルから中盤がフリックしてCBシュローターベック/アントンに届ける
CBが前向きで受ける時には既にケインとムシアラのプレスラインを超えていること
持ち運び、引き付けることでフリーな選手やスペースを作り、活用すること
が挙げられる。しかし、開始1分でコーベルからのパスを受け取ろうとしたザビッツァーがミンジェに奪われ大ピンチを招いてしまう。そこから10分くらいは安全を考慮し、コーベルからは長いボールが増える。
18分頃にようやく理想的な前進が見え始めた。更に21分にはズーレが持ち運び、テルを引き付けてフリーのリエルソンがクロス、ギラシはうまく当てられなかったが、クリーンな前進からフィニッシュまでがつながった。
いずれのシーンもコーベルからヌメチャを経由し、フリーのCBへと提供している。ヌメチャを担当するのはゴレツカだが、ヌメチャが瞬間的にゴレツカから離れることで、コーベルがパスを出せるタイミングと状況を作り出していた。
GKに対するマークは無いのだから、フリーである彼を活用すると11v10になる。ということは、彼がプレッシングを受けたときには必然的に誰かが空く。ただし、コーベルが直接的にCBへボールを届けることはできないため、経由し、間接的に届けることが重要になる。コーベルをプラス1として作り、使うことでフリーな選手ができ、数的優位を確保して前進すると、そこからマークのズレが生じ、使える選手・スペースを作ることができる。
そして25分、ゴレツカはヌメチャをさらに捕まえ、一歩彼の前に出るくらいいに警戒している。そこでグロスが瞬間的に降り、サポート。シュローターベックに落とすことに成功した。ボールをもって前向きにプレーできるようになったシュローターベックからの配球でギッテンスがゴールをこじ開け先制に成功した。
2.ドルトムント非保持の振る舞い
ドルトムントの非保持は442のブロックを敷くのが基本であった。
DFラインが下がりすぎることなく設定されているため、MF-DFラインの間が狭く非常にコンパクト
保持者に対して常にチャレンジとカバーが設定されており、スライドのタイミングと位置を間違えない
バックパスに合わせてラインアップが的確に行えているため、前線の選手はプレッシングを開始することができる
という上記の点が特徴として挙げられる。ただし、ザビッツァーが単独でギアを上げてプレッシングを行ったり、周囲の選手がプレッシングのサポートに出て行かないシーンは気になった。
3.NEXTフラーフェンベルフ
最後にドルトムントの8番フェリックス・ヌメチャを取り上げたい。
マンチェスター・シティ・アカデミー出身の24歳ドイツ代表。
相手を背負いながらターンして運ぶことができ、配球の質も良い。
カバー範囲も広く、対人守備のたくましさも兼ね備えている。
190cmの身長も含めてリヴァプールのフラーフェンベルフにそっくりだと感じた。本家の方が22歳と若いが、ネクスト・フラーフェンベルフとして今後に注目したい。ドルトムントはビッグクラブだが、近年安く獲得して高値で売却しているため、プレミアリーグ上陸などもあるのか、自国のビッグクラブにステイするのか。個人的にはマンチェスター・シティに復帰する世界線も見てみたい。ロドリ不在時はもちろん、復帰後も彼の横で仕事ができるはずだ。