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管理栄養士が「添加物は危険」と言うことについて

こんにちは、管理栄養士の奥野です。

今日は管理栄養士の方が「添加物は危険」と伝えることについて考えたことを書きます。

実はこれを書くと管理栄養士の皆さんに嫌われるのではと怖くて、ずっと書かずにいたのですが、勇気を出して書きました。

●「添加物は危険」は都合が良い?

栄養指導や相談のシーンで、加工食品の摂取頻度が高い人に出会うと
「加工食品を減らして欲しい」と思いませんか?
私は減らして欲しいと思います。なぜなら加工食品に偏ることで、食塩と脂質の摂取量が多くなりやすいからです。管理栄養士の方であればこのように考える方が多いかと思います。

ではどのように相談者の方に伝えますか?
これは私の推測なので、当てはまらない人には申し訳ないのですが、
『加工食品は危険』『添加物が入っている』『カビが生えないくらいの殺菌料が入っている』と言えば、もしかしたら改めてくれるかな、なんて思って食品添加物は危険!というセミナーに情報を取りに行ったりしていませんか?もしくは相談者にそのように伝えていませんか?

「添加物は危険」という思想は、管理栄養士にとって、とても都合の良い考え方だなと思います
事実はどうあれ、信じてもらって「添加物を含む加工食品」の摂取が減れば、結果として相談者の食生活はより健康的になるかもしれません。栄養指導としては成功、ということになるでしょうか?

私がわからないな、と感じていることは、「添加物は危険」というフレーズを
①相談者の行動変容のために使っている
②(商品PRなどの場合)「無添加」を良く見せるために使っている
③本気でそう思っている

のどれなのか、ということです。①②の場合はこのまま続きを読み進めていただき、③の方はこちらの記事もお読み頂けますと幸いです

●「添加物は危険」で罪悪感が生じる

「添加物は危険」というような「脅し」で行動変容を促すことは、相談者の想いに寄り添った持続可能なアドバイスに繋がらないだけでなく、加工食品に頼ってきたことに対する要らぬ罪悪感を与える事にも繋がってしまうことが考えられます。なぜ加工食品に頼ってきたのか?そこを聞き出さないばかりか、その方を否定することにもなるかもしれません。私は、そのような栄養指導は、加工食品の摂取が減って数値改善したとしても、成功とは言えないと思います。

商品PRも同様です。無添加であることをPRするために、添加物使用食品にマイナスイメージを持たせる必要はありません。おいしく手間ひまかけて作った自信をそのまま届ければ良いだけの話です。「要らないものは一切入れません」と言った文言、撤回して下さい。添加物は「必要だから」入れています。

●加工食品をより健康的な設計にして欲しい、けれど・・・

食事指導が必要になる方達の中には料理が苦手な方が多くいます。その方達の「食の選択肢」を増やすことを考えたいと思いませんか? 食事を自分で準備することが難しい方には加工食品を勧めたいけれど、「加工食品は栄養バランスが悪い、食塩が多い、脂質が多い」と嘆いていませんか? 私は自分が加工食品を買って食べる時にいつもこの事に悩んでいます。問題は「添加物が入っている」ことではないはずです。

食品メーカーで実際に添加物を使って商品開発をしていた立場で申し上げると、食のスペシャリストとして消費者に関わる管理栄養士が、『添加物は危険』などと言っていれば、「この人たちに話をしても通じない」と受け取ります。それだけでなく、「でたらめ言って我々の商売邪魔するなら、栄養バランスなんて二の次だ」ともなると思います。管理栄養士が正しい知識を持って動かなければ、いつまでも加工食品市場は変わらないと思っています。

私は栄養相談の時におすすめできる身近な加工食品がもっと増えて欲しいと思い食品メーカーに入りましたが、そのような商品が売れる市場が整っていないことに気が付き会社を離れました。(詳しくは自己紹介をご覧ください。)
管理栄養士として市場を変えたいと動き始めたところに、管理栄養士さんが「添加物は危険」と言っている様子をちらほら見かけ、私の考えを発信したいと思いました。管理栄養士仲間である皆様、一度考えてみて頂きたいです。

●管理栄養士としての発言と個人の価値観は分けたい

「添加物はいや」という価値観については、価値観に正しいも間違いもないので、管理栄養士であろうとなかろうと尊重されるべきだと思います。

しかし管理栄養士の立場で、根拠なく「添加物は危険」という言葉を用いることは、栄養指導という実務においても、管理栄養士の社会的地位や役割を考えても全くプラスにならないと思います。

こちらのカビが生えない食品は危険な食品?では、食品メーカーの微生物制御の考え方について書いています。未開封の食品にいつまでもカビが生えないなどといったお話を聞いたことがあって、不安に感じられている方は是非お読みください。

食品製造の現場は見えづらく、「わからない」ことが「不安」になるということもあるかもしれません。そのような場合は是非私にご質問頂ければと思います。管理栄養士と切っても切り離せない加工食品市場について、皆様と一緒に考えたいという気持ちでおります。コメントやご意見お待ちしております。

(ちなみに)

私個人の食品添加物との付き合い方は、「自分が必要とする機能に対する添加に止まっているものだと良いな」という考えです。例えば、ベーコンの亜硝酸塩はピンクの発色のために使用されますが、私にはピンクは必要なく、亜硝酸塩がないベーコンの方が美味しいと感じるので、亜硝酸塩を使用するベーコンは選ばないかな、今とってもジャンキーなもの食べたい気分だから旨味調味料大歓迎、というような考え方でいます。


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奥野由✴︎管理栄養士・母子栄養指導士
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