絶望は沼の底へ沈めて
光陰ロケットの如し
2023年がもう終わる。
これは毎年感じていることだけど
「1年早すぎ」問題はやっぱり今年も目の前に横たわっている。
その問題は師走を生きるたくさんの大人の心を無駄に焦らせ
ドラッグストアのサッカー台に置いてある
ユーキャンの資料請求のチラシに
思わず手を伸ばしたりさせる。
大丈夫、あなたは今年もめちゃくちゃ頑張った。
今の世の中を生きていて頑張ってない大人なんかいないんだから。
「来年こそなんか勉強しないとなぁ」なんて血迷わずに
ちょっといいお菓子とか食べながら
たまに頑張るくらいでいいんだよ、
と人に言いながら
私は常に自分に言い聞かせている。
そんな1年早すぎ問題、
過ぎ去っていくのは時間だけではなく
推しという存在も永遠にそこにはいてくれないことを
私は2023年の年末、文字を大にして言いたい。
道標、もしくはセーブポイント
私の2022年の年末ならびに2023年の年明けは
ジャニーズカウントダウンコンサートを観ていた。
その最中に突如推しの単独CMが初解禁され
夜中の集合住宅ではたぶん許されないレベルで
叫びながら大喜びするという、推しに終わり推しに始まる
あまりにも清く正しいオタクを年またぎでやっていた。
その後、色んなことがあり
今年は久しぶりにお笑いオタク1本に戻った。
好きな芸人さんの全国ツアーに行ったり
配信で好きなお笑いを観たり、こちらの界隈も盛り上がっていて私の推し活は変わらず充実していた。
私にとって推しとは
どこまでエンジンを踏み続けて進めばいいのかを明確にしてくれる
「イオンまであと〇〇km」
みたいな田舎の道路沿いにある看板と同じだった。
あと〇日頑張れば〇〇がある。
〇〇をやり切って、推しが出るあの番組を観るんだ。
そうやって残りどれくらい走れば一旦このエンジンを止めていいのか、
こんなにわかりやすく示してくれるものは、推しがいるか没頭できる趣味がない限り他に無い。
ところが2023年の私の生活の中心にいた推し達は
年末の今、全員いなくなり私はテレビもYouTubeも配信も何も観ない年越しを過ごしている。
1年前の大晦日との落差が、あまりにもひどい。
オタクが最も見たくない3文字
今年、私は2回「ご報告」という最悪の3文字を見た。
オタクは公式からこの3文字が出ただけで
その時考えうる最悪の事態を想像して瞬時に覚悟するけれど
今回はどちらもその最悪の事態で
ずっと応援していた芸人さんが解散するという発表だった。
私がずっと追いかけてきたコマンダンテと和牛が、
石井さんと安田さんが
水田さんと川西さんが、
別れて散った。
2023年に、よりにもよって同じ年に。
正確に言えば和牛の解散は3月末だけど、
解散発表を読んでからどんな2人をみてもあの文章が脳裏をよぎる。
これはもう心理的な解散。
それぞれあの2人だからこそ成立するお笑いや世界観があって、他のコンビではなくあの2組が私は本当に大好きだった。
だから芸人を辞めないとか吉本に残るとか、そんな事は心の傷を小さくするのになんの役にも立たなかった。
本人たちが解散について世間へ報告する文章の行間からは
普段はこちらに伝わることのなかった生々しい温度があって
その温度は、 ファンとしてしっかり火傷を負うくらいには熱くて冷たくて、あまりにも受け止めたくないものだった。
推しは推せる時に推せなんて言うけれど、
推しという存在はある日突然いなくなるし
推しに会うためのチケットは返金という形でなかったことになってしまうし
これが最後という心の準備をさせてもらえないまま
いつかのステージが、映像が、最後になってしまう。
私も返金なんて全然されたくなかった。
あの2人のお笑いを生で、今年も来年もずっと観たかった。でももう二度と観られない。
なぜならこれは、ショートコント「解散」
ではないから。
オタクとしての矜恃
今年は推し活の大改革期、と表現するのが正しいか分からないけれど
毎日朝から晩まで報道されるニュースや
SNSでの世間からの風当たりで
推し活というものへの考え方や意義、
自分を作り上げている要素の1つとしていかに推しの存在が大きいのか
否が応でもそんなことを考えさせられた1年だったように思う。
言ってしまえば、別に推しがいなくても人はたぶん生きていける。
でも、この世を生きる私たちには
自分一人では負けてしまいそうな時がたくさんある。
そんな時にふと思い出す推しの言葉や笑顔は
あと一歩を踏み出す理由になるし
ステージの上で最高に輝く推し達に
自分の希望を勝手に重ねたり
推しの夢が叶っていく瞬間を一緒に感じたりして
そうやって、毎日をなんとか生きていける時がある。
私は今年推しが全ていなくなったことで
正直1人ではエンジンがかからない状態になってしまったのだけど
有難いことに、今の私にはエンジンフルスロットルで
もはや残像しか見えないくらいのパワーで
変わらず推しを応援している友達がたくさんいてくれる。
推しが繋げてくれた縁は、推しから離れた今も
大事な私のベースになっていて
ちょっとずつみんなからバッテリーを分けてもらい
いつかまたエンジンがかかる日も来るんじゃないかなと思っている。
それまではささやかでも好きだなと思う人たちを心の片隅に置いて眺めておき
いつでもエンジンフルスロットル推し活に戻れるように
準備運動でもしていようかなと思いながら、
怒涛の2023年に決着をつけたい。
今年、
色んな理由で推し活を辞めた人
変わらず推しを応援し続けた人
逆に今年推しができた人、
この世の全てのオタクと呼ばれる皆さん、
本当にお疲れ様でした。
そして推しの皆さまにおかれましては
誠に勝手ではありますが、
最高に輝いてそれぞれが思う夢へと歩いていってくれることが何よりのオタクの幸せだということを改めて認識していただけると嬉しい。
今泣いているオタクも絶望しているオタクも
何も考えられないオタクも
他の推しを見て現実逃避しているオタクも
とにかくあったかいご飯を食べてたくさん寝て
明日から新しい1年を始めて欲しいと、心から願っている。
悲しいことは2023年に全部置いて、
2024年はどうかこの世の推しとオタクが
たくさん幸せになりますように。