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異色のナードコアラッパーHARD GU.W-C.Iを紹介

  1. 前置き

  2. ナードコアとヒップホップ

  3. HARD GU.W-C.Iとは

  4. なぜ異色なのか

  5. 音楽性

  6. オススメの曲

  7. 最後に


1.前置き

皆さんヒップホップは聴きますか?
あまり知らない人からすると、少し怖いイメージがあるかもしれない。
あとはダジャレとか。
間違っていないと思う。
だから聴かずに敬遠してる人もいるはず。
ナード(オタク)とヒップホップ(ワル)
この対極にありそうな2つが交わるとどうなるのか?
そこを踏まえて紹介していきたい。


2.ナードコアとヒップホップ

実はナードコアとヒップホップには共通点がある。
それはサンプリングとビート。
サンプリングをしていないヒップホップはヒップホップじゃないと言われるくらい、サンプリング文化なのがヒップホップ。
またナードコアに使われる、いわゆるブレイクビーツの発祥はヒップホップだったりする。
このように音楽の根本の部分は共通しているところが多い。
ナードコアヒップホップで検索するとwikipediaのページが存在するくらいである。
では実際の現環境はどうなのか。
実は日本でナードコアヒップホップはほぼ皆無に等しい。
上に書いたwikipediaを見ると海外の内容についての記述のみである。
なぜ少ないのか。
あくまで推測の話しにはなるが、やはりスタンスの違いによるものが大きいと思う。
ヒップホップはワルであること、もしくは同じオタクでもヒップホップのオタクであること。
どちらかに属する派閥がメイン。
やはりオタク=ダサいという考えが根底にあり、そこに手を出したら舐められるよねという世界。
ネットラップの文化もあるにはあるが、もう完全に別の括り。
ヒップホップというよりボカロなどの派閥に近い。
以前に比べればアニメなどは市民権を得てきたので、ナードコアヒップホップが流行る可能性は十分にあると思うが、現状としてはそういった状況である。


3.HARD GU.W-C.Iとは

ナードコア界隈の例に漏れず、情報が少ないので詳しい人物像についてはわからない。

・SFS/Humanlost Production→主催の同人サークル。ナードコアオンリー?
・MUSASHINOCLAN→くっつり会という同人サークル内に所属のクルー。ナードコアとオリジナルごちゃ混ぜ?
・矗雲→毎年年末にEPを発表しているクルー。オリジナルオンリー?
・その他→客演など多数。

活動としては、多分このような形だと思われる。
Tumblrとツイッターとbandcampとsoundcloudの存在は確認できた。
音楽でいうと、恐らくTHA BLUE HERBというヒップホップクルーからの影響が大きいはず。
ラップのやり方・曲名・リリックなどから想像ができる。
私がこのラッパーに興味を持ったのは、私もこのクルーが日本のヒップホップで一番好きだからだ。
THA BLUE HERBというクルーはヒップホップ業界に登場してから今に至るまで、日本で一番と言えるくらいに影響力のあるクルーである。
今の日本で一番人気があるクリーピーナッツや、業界人気が非常に高いZORN、ワル系の代表格である舐達麻など影響を受けたアーティストは枚挙に暇がない。
話しはそれてしまったが、HARD GU.W-C.Iもその中の一人であると思う。


4.なぜ異色なのか。

つらつらと色々書いてきたが一番の理由としては
「そもそもナードコアをバックに歌う人がいない」
これに尽きる。
これはナードコアに限らずだが、テクノはインストゥルメンタルが主軸の文化である。(歌付きでヒットしたテクノはもちろんある)
細かいことを話すと長くなるので割愛するが、メインとしてはそういうジャンルなのだ。
そこで2に戻ってもらいたい。
そう、実はナードコアとヒップホップは相性が良い。
ヒップホップからは避けられ、テクノからは敬遠され、誰もがやろうとしなかった小さい針の穴の中に登場した、それがHARD GU.W-C.Iである。
かなり稀有な存在であるのは間違いない。
なぜ異色なのか伝わっただろうか?
(と大それたことを書いたが実は結構いました的な展開だったら恥ずかしいので、その時は教えて下さい)


5.音楽性

では、実際はどのような音楽なのか。
HARD GU.W-C.Iはアニメ・漫画・エ〇ゲなどのオタク文化がメインである。
ドラマやCMなどは(多分)ない。
基本であるトラックのテクノや曲中にサンプリングを入れるなどは、通常のナードコアと一緒。
一番面白いのはリリックにある。(歌詞のこと)
リリックの中にも元ネタのサンプリングをしているのだ。
例えばセリフであったり、使われているワードや作中にあった出来事を入れ込んでいる。
ここが一番の違い。
これって実は物凄く大変なことで、まずヒップホップの多くは韻を踏んでリリックを作る。
韻ってなんだ?っていうと皆さんが考えるラップ=ダジャレの、あのダジャレのこと。(簡単に言うと)
ダジャレをやりつつ、その中にサンプリングを入れ込むという作業がどれだけ大変か想像できただろうか。
このリリックの部分が他のナードコアとの違いを一番楽しめるのだ。
(ヒップホップは必ずしも韻を踏まないといけないワケではないので、踏んでいない曲もある)


6.オススメの曲

・3x6 Feat. HARD GU.W-C.I - 1999.07.12PM642

元ネタは「終ノ空/素晴らしき日々」
ゲーム内のセリフをサンプリングしまくり。
リリック内にゲームのことをサンプリングしまくり。
曲の雰囲気もおどろおどろしく、ゲームを再現しまくり。
ラストまでしっかり作り込んである。
とまさにナードコアヒップホップ!なので1曲目に選出。
完成度は非常に高いと思う。
元ネタを知らない方も、まずは名刺代わりにこれを聴いて欲しい。
(軽く話すと、妄想に取り付かれた3人の少女が前世の力を取り戻すために空へ飛び立つ=屋上から飛び降りる、そんなワンシーンのゲーム内ボイスをサンプリングしている)
アートワークで被っている、実際にある有名なキャップの文字と掛けているのも面白い。

・HARD GU.W-C.I - menticide

元ネタは「ミスミソウ」
こちらもリリックに元ネタをサンプリングしまくり。
韻をしっかり踏んでいるので、聴いていて心地が良いのもポイント。
トラックも原作を忠実にあらわしたダークなブレイクビーツ。
こちらも完成度が非常に高い。
精神的に落ちている時に聴くとダメージが大きいが、そうでないのであればぜひ聴いてみて欲しい。

・HARD GU.W-C.I - サクラサクミライコイユメ

元ネタは「D.C. 〜ダ・カーポ〜」
ダークな曲が続いたので、路線を変更してこの曲を。
セリフのサンプリング→ラップ→サビで元ネタ
というJ-POPにありそうな展開なので、ヒップホップが苦手な方にも聴きやすい曲になっている。
お兄ちゃん大好き妹ボイスが一般には引かれそうだけど、オタクは魅かれそう。
はい。

・ MUSASHINOCLAN - Re:Duvet

元ネタは「serial experiments lain」
このジャンルの人ってみんなlain好きだよね、ということでこちらの曲。
大胆に元ネタのOP曲Duvetをサンプリングしつつ、3:13に爆発する展開が上がる。
恐らくHARD GU.W-C.Iが手掛けた曲の中では一番知名度が高いと思う。

・HARD GU.W-C.I - Uneven Distribution

元ネタは「serial experiments lain」
同じネタが続くが、個人的にはこちらの方が好き。
気だるげにラップしながら、しっかり元ネタを組み込んだリリック。
最後に持ってくるセリフのサンプリング。
浮遊感とダークさが上手く融合した曲調。
狂ったようなフック。(サビのこと)
最高。

・3x6 vs HARD GU.W-C.I - Down For The Sky

元ネタは「空の境界」
ここで変わり種を1曲。
こちらはポエトリーリーディングという通常とは違う歌い方をしている。
簡単にいうと詩を読むように歌う(こちらの場合はラップする)歌唱法になる。
後半になるにつれダークに激しくなっていく、バックのドラムンベースもポイント。

・HARD GU.W-C.I - 桜​舞​う​こ​の​場​所​で [​聖​桜​extended]

元ネタは「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」
学園祭をテーマにしていて、聴いていると学生時代を思い出す。
またサンプリングされた色んなセリフが一斉に流れ出すのも楽しい。
懐かしい気持ちになれ、少し明るくなれるそんな曲。

・HARD GU.W-C.I - Summer Sunset [the idol of summer color]

元ネタは「夏色キセキ」
同じEPからもう一曲。
こちらは別れをテーマにした曲で、聴いてると切なくなる作りになっている。
HARD GU.W-C.Iの歌い方やリリック、ストリングスをメインに使用したブレイクビーツがそれをより引き立てる。
今日が終わったら、明日が来るのよ。

矗雲 - Tha Worst Trip

最後は元ネタなしのオリジナル曲。
ナードコアから外れるので迷ったけど、すごく好きなので紹介。
テーマとしては孤独?なのかな。
いったい自分はなんなんだろう…という常に頭の片隅にある内容に共感できる。
そして韻を踏みまくるリリックが素晴らしい。
わかりやすく踏みまくるので本当に気持ち良い。
またHARD GU.W-C.Iの中では(上記に比べ)最近の曲になるので、トラックも今っぽくて聴きやすい。
ただ1点だけずっと気になっている部分がある。
曲の中で一人称が「僕」で進むのだが、一か所だけ「私」になるのだ。
これは意味があるのか、もしくは文字数の関係で変えたのか。
ずーーーっと気になっている。
誰か知っている方がいたら、教えて下さい。


7.最後に

今回めちゃくちゃ長くなってしまった。
あと紹介したい曲がネット上にないことが多く、そちらの部分でも苦戦した。
非常に読みずらい文章になってしまったので、最後まで読んでくれた方がいたら、ありがとうを伝えたいです。
次回の記事の構想も頭にはあるので、出来れば投稿の間隔をあまり開けずにしたい。
では。

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