カナダ永住権に関わる盲点
カナダ永住権にアンテナを張っているといろんな人の意見や現状を聞く機会も多いんですが、意外と盲点になりがちなポイントってあるよなーと思うことがあります
特に今はカナダ永住権氷河期と呼ばれるぐらい永住権取得は簡単なものではありませんから、今回は「これって盲点じゃない?」と思うポイントを書いてみようと思います
申請はゴールではない、むしろ通過点
カナダ永住権を目指している人で申請にばかり目を向けている人って割と少なくない印象です
最近はポイント制を採用しているプログラムも多いですし、申請要件を満たすこと、申請要件を満たした上で自分が現段階(もしくは近い将来)のポイントを上回っていることに目が行きがちです
残念ながら、現在の状況はカナダの移民局のバックログは溜まりまくり、申請したところで「自分の持っているビザ期限内に承認されるか」が一番の問題点だったりします
今まではBridge Open Work Permitに切り替えるというのが永住権待ちの人の王道でしたが、近年は「BOWPの申請要件も満たせぬまま、、、」という人も少なくないと思います
BOWPを申請できない人達は雇用主に協力してもらって就労ビザに切り替えるという方法も以前は取れましたが、2024年秋に発表された就労ビザ制度改定により失業率6%以上の都市はLMIAの審査が止まりますから、永住権待ちの人が残り続ける手立てが減っている現状になっていると私の中では理解しています
一部の州は州推薦制度に申請済みの人に就労ビザ延長の恩赦を国に依頼して認められているところもありますが、これは2024年だけの措置か、今後も継続されるのかも不透明です
また全ての州がこの特例を使っている訳でもないので、それなりにリサーチも必要になるかなと思います
なので、申請するのはあくまで第一関門
いかに承認までカナダで働けるビザを保ち続けられるかというポイントは忘れないようにしたいものですし、自分のビザ期限を見ながらどういう手立てが取れるのか、どこで諦めるのかは考えておいて損はないと思います
プロに頼めば大丈夫?
日本からカナダに渡航する際、利用するビザの二台巨頭はワーホリと学生ビザ(study permit)かなと思います
ワーホリの人も語学に自信が持てない場合、最初の数ヶ月語学学校に行く人も少なくないので、割とワーホリの人も学生ビザの人も留学エージェントにお世話になることが多いのではないでしょうか?
また留学エージェント経由でStudy Permitの申請を政府公認移民コンサルタント/弁護士にお願いする人もいると思います
更に「もっと長くカナダにいたい」と思ってclosed work permitの取得や永住権の取得を意識し始めるとやはり政府公認移民コンサルタント/弁護士に相談する人も圧倒的に多くなります
留学エージェントや政府公認移民コンサルタント/弁護士はプロだから頼り切って大丈夫かというと実際そうではない場合もあります
日本人経営で悪徳な商売をしている会社はあまり聞きませんが、プロにお願いしたからと言って安心できるとも限りません
最近カナダで話題になったのは留学エージェントが入学許可証を偽造してStudy Permitを取得していたケース
もちろん学校はその人達の入学を許可してない訳ですから、入学後にトラブルが発覚する訳ですね、、、
この件を機にStudy Permit申請時の入学許可証が本物かを確認するプロセスが加えられたぐらいのインパクトでした
カナダではありませんが、日本人が経営するエージェントが無資格にも関わらずビザ申請を代行し、残高証明を偽造して申請したことで、申請者のビザが取り消される事例も記憶に新しい事件です
「プロに頼めば大丈夫」「お金を払ったんだからちゃんとしてくれるはずだ」という気持ちでいると足元をすくわれる可能性もあるので、注意が必要です
最低でもビザ関係の申請が関わる場合、政府公認のコンサルタント/弁護士かどうかは確認しましょう
あと政府公認のコンサルタント/弁護士だったら、言葉を鵜呑みにしてもいいかと言うとそうも言えないと思っています
私の経験で言いますと、Post Graduate Work Permitの申請が視野に入り始めた段階で永住権申請まで伴走してくれる移民コンサルタントを探したいと思い、3社で比較しました
2022年秋の時点で私の場合、FederalのExpress Entryは厳しいし、BC州の州推薦プログラムも難しいと思っていたので、州移動も含めたオプションを話し合える人を探していました
三人のコンサルタントのうち、一人の方とお話させてもらったとき
PGWP保持予定者なので、1年就労してCanadian Experience Classで申請ですね!
と言われて椅子から転げ落ちるかと思いました
と言うのも、その時点でFederalのExpress Entryのポイントは鰻登り
提案してもらった内容はコロナ前では定番だったと思いますが、その時点では私の場合、1年の就労で永住権が取れるはずもない状況でした
そして、その時点ではCEC限定のDrawは1年以上行われていない状態
素人の私でさえ最新の情報を追っていればアドバイスが全く現実に沿ってないことは気づける状態でした
結局、私が知り得る全ての最新情報をお伝えして代替案の検討も依頼しましたが、納得できる案は提示してもらえませんでした
この経験で別のコンサルタントの方が自分に合っていると確信して、別の方と契約することに
2024年現在でも私の場合、CECでは永住権は承認されるとも思えないので、自分の決断に納得しています
厳しいことを言うと、移民コンサルタントや移民弁護士は相談を受けること、申請を代行することでお金を儲けます
つまり、申請する気持ちになってもらうことが自分達の収入に繋がる訳です
なので、私のように永住権が取れる可能性が限りなく低いが申請は確実にできる方法を提案されて、鵜呑みにしてしまえば、私はお金の無駄をする訳ですが、コンサルタントからすれば利益になります
「故意に依頼主を騙して」とか私が経験した「情報アップデートが不十分」な人に当たる可能性はそんなに高くないとは思いますが、注意が必要ですし、自己防衛するには自分が永住権に関わる最新情報を仕入れておくと「なんか言っていることが辻褄合わないな」と気づけるかもしれません
あともう一つ個人的な経験から言うと「◯◯州に行けば永住権取れるって聞いたんで、引越します」みたいな発言を又聞きで聞くことが度々あります
それも移民コンサルタントと話をしてそう決断したと、、、
カナダでは政府公認の移民コンサルタントが「永住権取れますよ」と結果を保証することは法律で禁じられています
つまり、さっきの州移動すると永住権が取れると言った人は
コンサルが「永住権が取れる可能性がまだ高いかもしれません」や「申請できると思います」と言ったことを「永住権が取れる」と言われたと勘違いしている
もしくは
コンサルが「永住権が取れるかも」と言われ、本人も「取れるかもしれない」と理解しているが、友達と話した時「永住権が取れる」と表現してしまった
または
ヤバいコンサルに引っかかって、「こうすれば取れますよ」と言われて鵜呑みにしている
のどれかになるかなと思います
私が聞いた数々の又聞きの人達がどのパターンに当てはまるかは分かりません
(なんせ又聞きなもので、、、)
ただ、「絶対永住権取れますよ!」と言う人はヤバいと思っておいて良いと思います
永住権が取れなかったときの身の振り方
コロナ前はカナダ公立校に行って、Post Graduate Work Permit を取得し、カナダでの就労経験を貯めたら永住権申請し、永住権取得という流れが王道と言われました
コロナ後、留学生や外国人労働者が増えたことで永住権取得希望者の母数が増え、今はいくら王道のPGWPを使っても永住権が取れないまま帰国する人も少なくありません
カナダ永住権を目指す人の多くはカナダ永住権取得のみに意識が行きがちで、「もし永住権が取れなかったら?」という部分は自分の考えから排除しがちに感じます
スピリチュアルとかを信じていて「考えたら永住権が取れないことが引き寄せられてしまうから考えません!」と思う人はそれはそれで良いと思いますが、私はざっくりでもいいから出口戦略は持っておいて損はないのではないかな?と思ってます
以前数字で考えた通り、今カナダに滞在している人全員が永住権が取れる訳ではありません
更に来る2024年11月1日に政府が新たな2025〜2026年の永住権承認数を発表する予定で、上記のNote記載時に使った永住権承認数より承認数が減ると言われています
つまり、もっと難しくなる
私の場合、以下の記事にもある通り、今カナダ永住権を狙うのは厳しいと感じているし、カナダ政府が「一定数の人が母国に帰る前提」で計画しているのだから、自分も永住権プランの一貫として諦めて帰国するときの出口戦略は対策として持っておこうと考えて、実際リサーチはすでに始めています
例えば、「この業種の場合、この時期に募集が出やすいとかのリサーチ」や「前の会社に戻りたい場合は元同僚に状況を聞いてみる」等いろいろな対策が取れると思います
私は独り身なので、引き際は自分のことだけで決めれば良い訳ですが、最近はお子さんを連れてカナダ永住権を目指す方も多いように感じますので、お子さんを連れて来られている方は特にお子さんが日本に帰ったときに「カナダと日本の教育のギャップに悩まされないか」「どのタイミングで帰国すると子供が学校に馴染みやすいか」等も意識したいところです
カナダと日本では教育内容や進度が違いますから、カナダから帰国したときにカナダではまだ習っていないことが日本ではすでに教え終わっているようなことも起こり得ます
今は度々就労ビザや学生ビザに関わる制度も変更していますし、来年の選挙で政権交代が発生する可能性さえあります
今の永住権戦略が通じなくなる可能性はゼロとは言えないこともあるので、親が積極的に「もし今のプランがうまくいかなかったら?」という観点でリスクマネジメントの意識を持っておくことで、お子さんの将来の安定に繋がるかもしれません
まずは「何歳で来て何歳で帰る場合、どういう内容が未就学になるか」の確認、補習校に通わせる、チューターを雇う等いろいろ手はあると思います
また、永住権取得の可能性があまり見込まれないことが見えて来た場合、どこかのタイミングで片親と子供だけで日本に帰る、もしくは祖父母の協力を得て、先に子供だけ帰らせる等の方法もあると思います
運良く親が永住権を獲得できれば、お子さんが日本とカナダでカナダを選ぶ場合、Family classで永住権を申請する選択肢もあると思いますから、結果的に日本に帰国することになる可能性も想定してお子さんにとって一番リスクが低い方法を模索することも重要かなと思います
また、カナダと日本の教育のギャップにハマってしまって、日本に帰らないといけないけど、日本の一般入試は厳しいというような場合は帰国子女選抜とかを利用することになりますが、帰国子女選抜も利用要件があるので、要件を満たさないと利用できません
これらの年代の場合は帰国子女選抜の要件確認も重要だと思います
日本とカナダの教育の差から未就学の内容が発生した場合、それを背負うのは親ではなく、子供です
未成年の子供達は本人の意思ではなく親に従って渡航しているケースが多いと思うので、帰国を余儀なくされたときにも子供達がスムーズに日本の教育の流れに乗れる状況を親側が積極的に築いていくとよいかなと思っています
もちろん出口戦略を練っていたからと言って、それがうまく進むとは限りません
しかし、ある程度の準備をすることで帰国以外手段がなくなったときに慌てずに済むというメリットはあります
また、意外と私の周りの永住権保持者も親の介護等で永住権取得後に子供を連れて長期帰国を余儀なくされる可能性を想定して、対策をしている人もいます
絶対に必要かと言われればそうではないけれど、自分の為にも家族の為にも「万が一、永住権が取れなかった場合の想定」をしておくと万が一のときに助けになるかもしれません
カナダの永住権の傾向はコロコロ変わるし、取りやすいときもあれば、取りにくいときもあります
今も実は全員が取りにくい訳ではなくて、一定の条件下の人はカナダ永住権が取りやすい状況です
取りやすいときは上に書いたようなことは気にする必要はないのですが、今は私のように「見込みはないけど、できることはするかー」と思っている人は少なくないと思います
相変わらず全く夢のないシビアな話ばかりで恐縮ですが、そういう盲点もあるかーと思ってくれる人がいて、参考になれば幸いです
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