最初で最後のポートレート【ノトコレ応募】
『遺影の写真を、撮ってほしいの。』
突如入った母からの連絡に、しばらく連絡を取っていなかったバツの悪さと共に、淡々と書かれた一文に心が冷え切るような感覚がした。
母が遺影の撮影を依頼したのは、きっと私がフォトグラファーだからだろう。全国どこでも、依頼があれば駆けつけるライフスタイルから、実家に顔を出すのはおろか、連絡すらおざなりになっていた矢先のことだ。
3年前、父が亡くなった。その葬式以来、実家に足が向かなくなっていたのは事実だった。
父の容態が良くないと聞