いつものTENET
Amazonプライムで、『TENET』を観た。
うーん、プロットがややこしすぎて、よくわからないところがあちこちに。でもスッキリしないのはそのせいだけじゃなく。
上映後、うちの青年(26歳)と反省会。
以下、ネタバレはそんなにしていませんが残念な感想。お好きな方にはごめんなさい。豪華で面白い映画ではあるけど、「もっと」面白かったらよかったのになと、期待してしまった。
わたしの結論は、「過剰に複雑すぎるプロットで演出したパズル映画。しかし世界観はめちゃくちゃ単純」。
クリストファー・ノーランの映画は一見とても複雑に見えるのだけど、理論に鉄壁のスジがとおっているわけではなく、見た目をきれいにつなぎ合わせることにもっとも力が注がれているだまし絵のようだ。
「本質はアクション映画だよ」
と青年。
そうなのかー!なんかもっと、深遠なことをいいたい映画なのかと思っちゃったよ。
『エヴァンゲリオン』に90年代の中学生が深い意味をさがし求めたように?
「それにセリフがひどい」
「うん」
あのセリフはないよね、というのがすくなくとも3箇所あったことに青年と同意する。
「もしかして冗談なのかな」
「わざとやってるとしたらなおさら趣味が悪いよ」
「それにあのキャラクターはちょっと底が浅いよね」
「世界を終わらせられるパワーを持つ人ならもうちょっと…」
「もうちょっと哲学があってもいいんじゃないの。(せめてムスカ大佐くらいには…)」
「人間がシンプルだよね」
「ゴールデンリトリバーみたいな男だったね」
親子でノーランに言いたい放題。
キャラクターはみんなそれぞれ魅力的で、ふんだんにお金をつかった映像はケチのつけようのないほどゴージャスで、頭がこんがらかる複雑そうな話、エキゾチックな舞台と設定。
……ならば、もっとガツンと実のある何かをみせてもらえそうな気がするのに、肩透かしをくらってしまう感が半端ない、いつものクリストファー・ノーラン。『インセプション』でも『インターステラー』でも同じような目にあわされたのに、またしてもやられてしまった。
わたしはクリストファー・ノーランにいったいなにを期待していたのだろうか。ヒッチコックだと思って見ればよかったのだ。
「ほぼほぼニヒリスティックな映画だな」と青年はいう。
わたしは『メメント』はすごくニヒルな映画だと思った。そのあとの大作は、ハリウッドだけに家族愛的なテーマが入ってて、もうちょっと一見、血が通っているように見えたけど。