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小さなサプライズ

11日の朝、職場の駐車場に着くと、日が当たりにくい端の方はまだうっすらと雪を被っていました。
昨日私はお休みだったので、きっとこの辺りも真っ白に染まっていたんだろうな、と直接目にしていない景色を思い浮かべながら目線を奥に移していくと、

おお、雪だるま!

駐車場の端の植え込みの近くに、全長三十センチほどの雪だるまの姿がありました。

手や顔はなく、ひょうたんのような形をした白く丸い雪だるまが、駐車場に入った人たちをこっそりお出迎えしています。

子どもが多い住宅地や公園でもない、この駐車場という場所で、まさか雪だるまに出会えるとは思わず。「一体誰が?」と一瞬考えましたが、すぐに思い当たることができました。

私たちの職場は接客業を営んでおり、この広々とした駐車場の大半は、お客様が利用しています。昨日は、お客様の車が通れるよう雪かきをしたスタッフもいたはず。
夕方には雨に変わりそこまで積もるほどの雪ではなかったのに、ここに雪だるまがいることが、人の手で雪かきをしたという証拠です。

この広さ、かなりの重労働だったはず。
そんな中で雪だるまを作って残しておこうという発想が、その遊び心が、ここのスタッフの方々の本当に素敵な良いところなのです。
そして私のように駐車場に入った人が、朝から小さなサプライズを受け取って笑顔になる。
改めて、この職場で働けて良かった、と朝からしみじみと思いました。

もうひとつ、小さなサプライズが。
同じ日の夕方、仕事で日誌を書こうとしていた時でした。前日のページを開くと、“天気(雪)”のそばに雪だるまのイラストが添えられていました。

わ、可愛い!

このイラストを描いた彼女も、雪の中の出勤は大変だったでしょう。夕方のこの時間は、帰り道を心配して気持ちもどんよりしていたかもしれません。でも、このイラストからは雪の日を楽しんでいるように感じられました。
描いた本人は今日も出勤していましたが、本人から「こんなの描いてみたよ」と言ってくることはありませんでした。
そういえば、今朝の駐車場の雪だるまも
「気付きました?実は私が作ったんですよ」
と言う人は一人もいませんでした。
何だか、そういうさりげないところも素敵です。

私は“天気(晴)”のそばに、太陽と崩れた雪だるまのイラストを添えました。
明日、誰か気付いてくれるかな。



2023.02.12 朝

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