青いパソコンの話
驚きすぎて、目を疑った。
え、どうして!?
だって、あんなに・・・・・・!!
目の前には1台のChromebook。相棒に、と初めて自分用に買ったパソコンだ。画面からは白い光が漏れ、私がログインするのを待っている。
画面を凝視したままこんなにも驚いているのは、近々このパソコンを処分する予定だったから。てっきり故障したと思っていた・・・・・・。
急に電源が入らなくなったのは、去年の秋。不具合の原因はおそらく、最後に触れてから丸2ヶ月間充電もせずに放置してしまったことだろう。
画面もランプも一切点かない。コンセントに繋いでも充電されない。うんともすんとも言わない。
購入して半年ほど経った頃にも同じ状態になった。原因は思い当たらなかったが、その時は保証期間内だったので無料で修理をしてもらえた。
修理後の明細書には聞き慣れない部品名がいくつも並んでいて、交換した部品がこんなにあったのかと驚いた。「初期不良?」と不安になったけれど、修理の依頼から返却まで迅速に対応してもらえたことに満足していたので詳細はとくに気に留めていなかった。
しかし、それから1年経って再び同じ症状に。しかも今回は保証が切れてしまっているため、修理費がいくらかかるのか分からない。
とりあえずネットで調べたいくつかの対処方法を試してみた。結果はどれもダメ。本当にうんともすんとも言わない。
やっぱり故障だ、と諦めて修理センターに現状を伝えたところ、見積金額はおそらくパソコンの購入費を上回るとの返答だった。修理サポートのような保険に入っていないため、10万以上かかる可能性もあるという。
考え直します、と答えてひとまず修理依頼はキャンセルした。
初めて自分のために買ったパソコン。青色のボディに惹かれていた。
ブラインドタッチや早打ちの練習をたくさんした。noteに投稿する文章やイラストを描いたりもした。調べ物をする時、資格の勉強をする時にも大活躍してくれた。
連日使い込んでいた時期があって、ちょっとお休みさせるつもりが、そのまま手入れもせず放置してしまった・・・・・・。
ごめんね、パソコン。
年末になり、処分しようとしたが決心がつかなかった。短い間だったけれど、たくさんの思い出が詰まっていた。
パソコンが壊れて3ヶ月。ようやく新しい物を買おうと検討を始めた。
そして、ふと壊れたパソコンを取り出したのが昨日。冷たいボディを撫で、本当にこれが最後だと、捨てる前の儀式のようにコンセントに繋いだ。
奇跡の復活、なんてね。
意味がないのは分かっているけれど、せめてもう一度だけ。
コンセントに差し込んだ直後、電源ランプが白く灯った。
え・・・・・・!?
ランプを二度見して、見間違いではないことを確認してから慌ててディスプレイを持ち上げる。
起動時間が短いのがChromebookのメリット。あっという間に画面からは白い光が漏れ、見慣れたGoogleのアイコンとアカウント名が表示された。私がログインするのを待っている。
私の口角はみるみる上がって、パソコンを抱きしめて飛び上がりたいほどの喜びが押し寄せた。
復活した! 私のパソコン! よかった・・・・・・!!
その後アップデートやセルフ診断も行い、操作性やバッテリー、メモリなどに異常がないことを確認した。こうして文章を打っている今もすこぶる良好で、問題なく動いている。
なめらかでマットなボディ、私の指に馴染んだキーボード、カタカタという音が心地いい。
今度こそ、大切にします。
青いパソコンを撫でる。今年の目標は、物を大切にすること。
壊れてから気づくのでは遅いから。大事に、丁寧に、できるだけ長く使えるように。
自分で選んだ、自慢の相棒なのだから。