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読んだ本紹介【5月】

1.地政学が最強の教養である 田村耕太郎

地政学が「最強の教養」と言い切る強烈なタイトル。
地理好きの私はすぐさま共感し手に取った。

地政学とは地理の中にある分野の一つという認識の私はしっかりと地理を学習していた高校生まででは抑えていなかった分野で触りで良いので独学しようと長いこと思っていた。

そんな入りに本書はまさに適切だった。
アメリカ、中国、ロシア、日本をはじめ世界全体の地政学について述べられている。(アフリカはほとんどなかったかな)

地政学を学ぶ時は即時性が求められるため、あまり資料が古すぎると新鮮な学習ができない。そんな問題も本書はクリアしていて出版は今年1月だ。そんな新書を所蔵していた図書館には感謝したい。

ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事への懸念など、最新の地政学に関する情報が集積されていて危機感を身を持って感じることができる。

また、最新情報だけでなく普遍的な地理的要因が時代の流れとともにどのように地政学に影響を与えるのか。そういった根本の学習も抜かりなくできた。

著者が日本人のため、日本人目線でも多くのことが書かれていたがネガティブな内容が多かった。しかし、これには私も納得だし実際に今後の日本の姿は本書に書かれていた通りになるかもしれない。

まとめると地政学は様々なことが結びあっている学問。
位置、気候、産業、農業etc
それは双方向であるため、地政学から様々なことを一気に学ことができるまさに「最強の教養」なのではないだろうか。

2.モチベーション3.0 ダニエル・ピンク

勉強、仕事、人生においてモチベーションは非常に大切である。

モチベーションの有無はもちろんのこと、質(方向性・継続性etc)によってそれぞれの成果は大きく変わってくる。

それぞれの場面や環境に適したモチベーションが、人間や社会の変化によって変化するのは当然のことであり私たちはその変化を受け入れる必要がある。

本書における3.0とはみなさまお分かりの通りインターネットのOSと同じバージョンの表現である。

人類最初の1.0は生存を目的とする人類の動物的な源泉とも言えるバージョン。

続く2.0はアメとムチによるルーティンワークを基本とした世界におけるモチベーションの基礎。

そして、題名にある3.0は自身の内側から湧き出るやる気に基づいたモチベーションである。
2.0は外側からのやる気であるのに対して、3.0は内側からという点が最も異なる点である。

21世紀に入りこれまでの2.0は完全に機能不全になってしまった。
それは現代が創造性を必要とする社会に変化してしまったからだ。

ルーティンワークからクリエイティビティが求められる仕事においては2.0は全く機能しないのである。

3.0のような人の内側から来るようなモチベーションが必要不可欠なのだ。

モチベーション3.0を構成するには3つの要素が必要だと著者は述べている。

①自律性
本来の私たち人間は自律的であり、自己決定的である。
しかし、様々なマネジメントなどを介されそうではなくなってしまう。
内側から起こす3.0にはこれは最も必要な要素である。
実際に、自律性を与える企業は他の競合他社よりも良い実績をあげているそうだ。

②熟達(マスタリー)
2.0は従順な姿勢が求められたのに対して3.0では積極的な関与が求められる。
熟達の始まりである「フロー」は自分に適した業務経験をさし、そこに到達するために努力・根性・意図的な訓練が必要となるのだ。
熟達を実現することは不可能であり、それだからこそ魅力的とも考えられる。
そうした、積極的な関与が3.0には不可欠である。

③目的
人間は本質的に人生の意義や目的を見出そうとする。
しかし、多くの企業では本来の目的が飾りとなり日々の業務が目先の小さな快楽のような目的ばかりを優先して行われている。

3.0を必要とする現在は、そうでもなくなっている。目的の最大化が利益の最大化と同程度に認められてきているのだ。
「目的という動機」
現在の企業活動では重要である。

たしかに高利益の大企業以外の中小やスタートアップの価値や社会からの評価は上昇しているように感じる。

読み進めて行くと理解が深まり内容がスッと入ってきて読みやすかったように感じた。
読み始めと読み終わりの感触がここまで違う本は久々。
2010年第1刷と情勢は当時と変化しているが、現在にも通じる内容がありとても勉強になった。名著と評される理由はこれかもしれない。

今月は忙しさを理由に読書から離れる時も多かったが、読めた2冊がどちらも勉強になる本で良かった。来月は久々に小説も読みたい。


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