愚かでイかれた偉大な男
瞬い閃光が走り、激しい轟音が唸る。
辺り一面は焼け野原となる。
高い所に頻繁に起こるそれを天へ近づこうとする者に対する『神の裁き』だと人々は言った。
そこに1人の男が
「あれは神の裁きなんかじゃ無い。ただの放電現象だ。」
と言った。
人々は笑った。
この男は恐れ多くも『神の裁き』を電気による自然現象だと言い張るのだ。
「どうかしてる。」
「愚かだ。」
「イかれてやがる。」
人々はその男を罵った。
その後、その男は様々な仮説を立てるが人々は聞く耳を持たなかった。
そこで、その男は強行手段に出た。
その男は絹で凧を作り、凧から垂らした糸に鍵を結び付けた。
その男は『神の裁き』に向かって凧を上げた。
すると鍵が帯電し、ライデン瓶に電気が蓄えられた。
その時、『神の裁き』は電気による自然現象である事が明確になった。
人々は掌を返し、その男を偉大な学者だと讃えた。
後に紙幣にも肖像が描かれるその男の名は
『ベンジャミン・フランクリン』
愚かでイかれた、偉大な男。
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