自転車ロードレースの世界~近藤史恵さん『スティグマータ』読了
近藤史恵さんをご存知でしょうか?ちょうど今ドラマもやっている西島秀俊の「シェフは名探偵」の原作者の方です。日常のちょっとした謎解きが面白い短編集のシリーズもいくつかありますし、今回ご紹介する「自転車ロードレース」を題材にしたシリーズがこれまた面白いのです!
『サクリファイス』『エデン』と続くこの『スティグマータ』。ヨーロッパの自転車プロチームで走る白石誓(ちかう)の目線から、同じ日本人ライバル、世界各国の強豪たちとのやりとり、そしてあまり日本ではなじみのない自転車ロードレースの世界が描かれます。この自転車ロードレース、ヨーロッパではプロチームがあるように、かなりメジャーなスポーツのようです。個人スポーツかと思いきや、チーム全体でエースを勝たせるというチーム戦、頭脳戦なのです。
『スティグマータ』では、ツール・ド・フランスのレースを舞台に、ある強豪選手を軸にした心理戦、ヒリヒリする人間模様がスリリングに展開していき、続きがどうなるのだろうと本当に面白く、ハラハラしながら読みました。
まずはヨーロッパが舞台ということでカッコ良く(笑)、こんな世界があるのか、と未知の世界にワクワクしますし、ミステリの要素もあって楽しめました。
近藤史恵さん、どの本を読んでも本当にハズレがない作家さんです。