【小説】唇が寂しいから口紅を【カニロク】
唇が寂しいから口紅をかじった。
ガジガジ。
口紅は口の中に入っても問題がないものでできている。 これは100%そう。
お化粧する女性が年間に食べてる口紅の量って知ってる?
調べない方がいいと思うよ。
多分気持ち悪くなるよ。
口寂しい時には、タバコ、飴、ガム、そういうものが味方になってくれる。
でもタバコは禁止。
飴もダメ、ガムもダメ。甘いの嫌い。
そうしたらもう他に頼るものなんかない。
口紅。これだけは、いつでも働く女性に許されている。
リップクリームを塗って上から口紅。色づく唇。
それから…。
ピンク、オレンジ、ベージュ、ブラウン、プラム。
赤ばかりじゃないよ。
でもどれも味は一緒だよ。
異食症って言うんだよね。
食べ物じゃないものが、 食べたくて仕方がない。
ストレス社会の表れの1つだよね、珍しくもない。
唇が寂しいから、口紅かじる。
ガジカジガジカジ…
ステックタイプの口紅を守る筒には私の歯の跡。
舌を押し付ける。
バターのように滑らかに溶ける口紅が、
いい口紅。
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カニロク:短い小説を書く人。
柚木ロマのnoteに相乗り。
あとがき:私が食べたわけではないです。
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