しさく/プレゼント
プレゼント ゆずりはすみれ
プレゼント。
と、差し出した
ちいさなまるい手のひらに まるい
つぶ
アリガトウ。
受け取ると
わたしの手のひらにころんと 転がった
だんごむしが いっぴき
かたくなに まるまったまま
突いても一向に ひらかない
そう言えば きみも
こうだったよ
ついこの間まで
かたく両手を結んで
まるくなった だんごむしのように
いまはもう
ひらいたり とじたり
じゆうじざいに 出来る
少しだけ ひろくなった手のひらに
きみは ちいさないのちを乗せて
渡すことも 捨てることも
出来る
わたしたちは
おなじ ひとつの
いのち として
ひらいた 手のひらのさき
ふと 動き出す
ぴきぴきと
蠢いて
ちいさなあしと ちいさなからだが
こぼれだし ひらめきながら
まるい ちきゅうの
この 手のうえに
(点描と稜線主催『オンライン詩の合評会「点描を持ち寄る」』(2020年9月26日)にて提出)