【名盤チェック】#6 Pink Floyd: Wish You Were Here (1975)
どうも、yuzuramenですよ。
タイトル通り名盤を一つ一つ聴きながらレビューし、自分の中の音楽の価値観を広げていこうという企画です。
聴くアルバムの基準ですが、かれこれ5年以上視聴している「み○ミュージック」様のアルバムランキングを参考に、邦・洋楽問わずトップ50辺りに入っているものを適当に選びます。その中でも、僕が今までマニアになったアーティストが好んで聴いていたものを選ぶ傾向にあると思うので、ご了承を。
6回目はPink Floydの「Wish You Were Here (1975)」でございます。初めてプログレのレビューに挑む。
いろいろ概要
1960年代後半~1970年代が全盛期の、「プログレッシブロックの先駆者」の内の一組として知られるイギリスのバンドです。幻想的で壮大なサウンドを武器とするプログレ界隈において抜きん出た存在であり、全世界のCD総売り上げは2億5000万枚以上(???)にも及びます。
基本的に初期のサイケデリック路線、その後の実験期、ピークとして知られるプログレ期など様々な年代に活動は分かれますが、本作はそのプログレ期に発表された8枚目です。
僕自身プログレは全くの初心者で、前作「The Dark Side Of The Moon」を少し聴いた程度。更に「The Dark~」はかなり一曲が短めでしたので10分を超える曲が何個か入る本当にプログレらしいアルバムを聴くのは今回が初めて。
ただ「The Dark~」のバリエーションの豊かさや全体の浮遊感たっぷりの雰囲気はかなり気に入ったので、本作に手を伸ばした次第です。因みに天邪鬼に行きたいという理由でそちらより先にレビュー致します。
その凄まじい完成度で特大ヒットし洋楽屈指の名盤として知られる「The Dark~」と並び絶賛されている本作ですが、果たしてどんな世界観が待ち受けているのか。
アルバムの感想
驚くほど聴き易かったですね。
個人的には1曲の完成度は劣るかもしれませんが、Shine On You Crazy Diamondのインパクトが圧倒的過ぎてアルバム自体の印象がそれで100%決まってしまいました(良い意味で)。オーケストラとバンドサウンドのバランスがまさに究極で、プログレの真骨頂を見た気がします。
「The Dark~」よりオーケストラの比重が減った代わりにバンドサウンドが存在感を増し、「浮遊感」に焦点を置いた前作よりも個人的にはブルース色が強く心地よいハーモニーに浸ることが出来て好みですね。
特にGilmourのギターワークが凄まじい。プログレパートでは泣きの歪んだギターを、ロックパートではエッジの効いた渋いギターソロを聴かせているんですが、途中で心を持っていかそうになるくらいに酔っていられます。ここまで格好良いギタープレイを感じたのは松本孝弘の演奏を初めて聴いた時以来です。
中盤の単曲ゾーンは前作よりロック色が増し、スタイルを変えながら何回も登場するGilmourのギタープレイも最高に気分が高まるんですが、やはり前後の大作に挟まれていることも、やや単調な構成なのもあり若干退屈を覚えました。ただ「Dark~」の後半よりノリ易いので全然好きです。
全体の作風に目を向けると、曲数が多く展開が目まぐるしく移り変わる「The Dark~」より1曲や1パートが長く、ジェットコースターからジャングルクルーズに変化したみたいな感じですね。(伝わってるか?)
そもそもメロディの作り込みが凄まじいのでいくら同じパートが繰り返されても味が出てくるように魅力を楽しめました。(2つしか聴いてないけど)今のところPink Floyd最高傑作ですね。
曲ごとの感想
1.Shine On You Crazy Diamond (Pts. I-V)
元リーダーのSyd Barrettに捧げた曲らしいですね。流石に長いので曲調が変わる毎の感想を書いていきます。
I、II
静かなストリングスとスライド?ギターによって幕開け。2分経った頃から伴奏が動くと共に優しいタッチのギターソロが展開。この始まり方で既にフロイドの世界観に引き摺り込まれるような感覚に入りますね。「Speak To Me」から「Breathe」への流れをも凌駕する、俺が聴いた史上最も神秘的なオープニングだと感じます。
III、IV、V
ソロが終わるとメインのギターリフが挿入され、一気にバンドサウンドも入り所謂ロックが始まります。Gilmourの泣きのギターソロが2回入った後8:30辺りで遂にコーラスを多用したボーカルによるパート(V)が開始。
このメロディはまさに心が浄化されるような、暗さと浮遊感を両立した本当に美しいものだと感じます。タイトルが豪華に歌い上げられるこの部分だけ永遠に聴いていられますね。終盤のサックスパートも見事。13分あることを微塵も感じさせない文句なしの大名曲!
2.Welcome To The Machine
こちらも7分半の大作。今まで以上にシンセや電子音、機械のノイズが伴奏に多用された全編弾き語りの曲(と言っても間奏が半分以上)で、正直ここまで全編同じようなマイナーコードで通されてしまうと流石に鬱になってしまうし退屈するんですよね。後半のノイズが飛び交う雰囲気は嫌いじゃ無いですがちょっと冗長だったかな。最後に多人数の話し声のSEで終了。
3.Have A Cigar
初っ端からクールなギターリフが登場、今作で一番短い曲です。フォーク調を活かした客演のHarperのボーカルと、Gilmourのカッティングを基盤にした最高に乗りの良い長尺ギターソロがたまらないですね。真ん中に雰囲気が(比較的)明るめな本曲が挿入されることで中弛みすることも無い。
ソロの途中で突如音量と音質が大きく下がり(古いラジオのよう)、次曲のイントロまで暫く片耳しか聴こえないという演出がなされていますが、最初は本気でイヤホン壊れたかと焦りました。笑
4.Wish You Were Here
一転してスライド奏法が目立つアコースティックサウンドに。まぁ悪くないんですが、全体の雰囲気やメロディ、曲の流れが単調過ぎて終盤には若干意識が遠のいていましたね。今作で一番人気なんでしょうが、他の大作に比べるとどうもな…。ただこの優しい空気は「Welcome~」より馴染み易くて安心して聴けます。
最後に風の音が入りいよいよ最終盤へ。
5.Shine On You Crazy Diamond (Pts. VI-IX)
またしても長いので分けます。
VI
ベースと低音ギターが鳴り幕開けを告げると、IIIのようなセッションパートへ突入。違いは拍子が6/8であることと、後ろでギターとシンセが忙しく動いていることですね。特に4分経った頃から叫びのような高音ギターが唸り、本作で一番狂気が出ている部分でしょうか。
VII、VIII
再びボーカルパートへ。Vと同じフレーズが繰り返され、本曲一番の盛り上がりを見せます。鳥肌が止まりませんね。
終わるとアルペジオに始まりジャズ風のセッションが展開。不安定に飛ぶ虫のような(?)シンセとが中心となる当部分はバンド最大の見せ所です。
IX
静けさを一旦取り戻すと、IIのような優しさに包まれながらも闇に沈むようなピアノとギターが今までと異なるフレーズを演奏し、最後は明るいハーモニーのフェードアウトにより幕が下されます。今までの暗さのままで終わらせない最後まで完璧じゃないですか。
まとめ
2回目のプログレ体験でしたが、やはりPink Floydの偉大さを感じずにはいられませんでした。例によって歌詞を読んでいないんですが、時間があれば歌詞解説なども見てBarrettへ捧げられた想いなども読み取りたいと思っております。
プログレではYes等も有名かと思われますが、名作がまだまだありそうなので慎重に選び記事を執筆していきます。それではまた。
(因みに今日部活前にBGMで流したら大絶賛されました。やはり本作のサウンド恐るべし)
評価: ★★★★☆