タスマニアに行けばクラッシュに会えると思っていた
年末にプレステ4を買った。
子どもの頃に大好きだった「クラッシュ・バンディクー」がリメイクされると聞いて。
あの頃はまだ珍しかった「奥スクロール」のアクションゲーム。キャラクターも可愛くて、敵キャラですら憎めない、大好きなゲームだった。
「クラッシュ・バンディクー2」を父が買ってきて、弟と一緒に遊び始めたのがきっかけだった。レーシングやカーニバル、「3」もプレイした。「1」は友達の家で時々やったぐらいなので、イノシシとパプパプぐらいしか記憶にない。
今思えば信じられないけれど、子どものころはゲームがないとやっていけない人生だった。
地元はとにかく田舎で、ゲームでも持ってないとどうしようもないくらい娯楽がなかった。周りの友達はみんな必ずロクヨンかプレステを持っていたし、1人1台ゲームボーイを持っていた。
もちろん、外遊びも活発にした。ローラースケートや一輪車、キックボードなど流行ったものはひととおり買ってもらい、タイヤが擦り切れるまで遊び倒した。はだしでアスファルトの道路を競走するという原始的な遊びもした。
それでも丸一日は潰れない。午前中は外で遊んで、午後からはプレステ。それにも飽きたら外でゲームボーイ。休日はそんな感じのルーティーンだった。
友達が新しいゲームを持って遊びに来てくれるときのドキドキ感や、自分がやったことのないゲームを華麗にプレイしている友達を見た時の憧れを今でも思い出す。たぶん、もう手に入れることはできないようなマイナーなゲームを、ふともう一度やってみたくなる。
新しくゲームソフトを買った時には、どうにかプレイする時間を確保したくて、平日の早朝に起きてやっていた。冬の朝なんか、普段ならギリギリまで寝ていたいのに、この時ばかりは布団から抜け出して、ゲームの部屋に行き、コタツとプレステ2を起動している間に洗顔を済ませ、コタツにもぐりこんでゲームをした。だんだん外が明るくなってきて、朝ごはんの匂いがしてくると、終わりの合図だった。
今思えば、親もよく許してくれたなと思う。
母は全くの機械音痴で、ゲームには触れたこともなく、いまだにガラケーを使っている。だから、ゲームについては何も関心がないのだと思っていた。
しかし、この前帰省した時に、母に冒頭で述べた「クラッシュ・バンディクー」のリメイクの話をしたら、瞬時にテーマソングを口ずさみ始めたので驚いた。さらに、頼んでもないのに、クラッシュがダイヤをゲットした際の喜びの舞まで忠実に再現し始めたから恐れ入り屋の鬼子母神。
「アンタら、狂ったようにやりよったやんか」とのこと。
そんなお気に入りだった「クラッシュ・バンディクー2」は、いつの間にか父が友達にあげてしまい、当時幼かった私と弟は涙をのんで「クラッシュ・バンディクー3」に全集中力を注いだのであるが、のちにプレステもプレステ2も壊れてしまい、もう二度と再会は果たされぬものだと思っていた。
母はあの頃を振り返って、「二人とも泣いたり怒ったりしなくて、よくできた子供や」としみじみコメントしてくれて、今更かよと言いながら二人で爆笑した。
そんなクラッシュ・バンディクーがリメイクされたというのだから、感無量である。進めるのがもったいない、かと言って完全クリアできる自信もない、もどかしくも幸せな日々を送っています。
ムキムキになる前のコアラコング
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